イマのホンダのベスト! シビック e:HEVへ試乗 Cセグ・ハッチバックの魅力を再実感

公開 : 2025.04.07 19:05

日本から輸出される欧州仕様のシビック e:HEVの4気筒エンジンは発電メイン モーターは183ps 上品で広々な車内 機能的で静かなパワートレイン 良好な操縦性と乗り心地 英編集部が評価

日本で作られる欧州仕様のシビック

ホンダ・シビックがかつて集めていた支持は、他のハッチバックと同様に、サイズ感の近いSUVへ奪われている。英国の販売数を見ても、ジャズ(フィット)は堅調ながら、より人気を集めているのはHR-V(ヴェゼル)の方だ。

しかし、シビックの魅力が薄れたわけではない。むしろ英国編集部は、現在のホンダのベストモデルだと考えている。

ホンダ・シビック e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダ・シビック e:HEV アドバンス(英国仕様)

現行となる11代目は、もはやグレートブリテン島で生産されていない。だが、開発を主導したのは欧州ホンダとのこと。顧客が寄せる期待や要望の水準が、日本や北米より高いことを受けての判断といえる。

他の市場では非ハイブリッドのエンジンも選べるものの、英国仕様はハイブリッドとe-CVTの組み合わせのみ。シビック・タイプRなら、純な2.0Lガソリンターボ+MTという、粋なペアも指定はできるが。

欧州で売られる最近のホンダ車は、中国で製造される例が少なくない。ZR-VCR-V、e:Ny1などがそうだ。でも、シビックはちゃんと日本で作られている。

4気筒エンジンは発電メイン モーターは183ps

シビックが積むハイブリッド・システムをホンダはe:HEVと呼ぶが、技術は複雑で独創的。エンジンは143psを発揮する2.0L 4気筒の自然吸気ガソリンで、1.05kWhの駆動用バッテリーや183psのモーターへ電気を供給する、発電機として専ら機能する。

市街地などの軽負荷時には、この電気モーターがシビック e:HEVを走らせ、カタログ上の最高出力も183psということになる。しかし、高速道路など高負荷時には、クラッチがエンジンとアクスルを連結。e-CVTを介して、前輪が駆動される。

ホンダ・シビック e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダ・シビック e:HEV アドバンス(英国仕様)

スタイリングは、10代目よりずっとハンサムになったとお感じの人は多いはず。全長は35mm伸びた一方、全高は低く、リアのオーバーハングは20mm短い。フロントピラーは50mm後方へシフトし、整ったプロポーションを得ている。

ボディ剛性は、先代から19%向上。テールゲートを樹脂製に、ボンネットはアルミ製にすることで、車重の増加も抑えられている。

英国価格は、このクラスとしては少しお高め。エレガンス・グレードが3万5005ポンド(約683万円)からで、試乗車のアドバンスは、3万9805ポンド(約776万円)だ。

装備は充実しており、シートヒーターに前後のパーキングセンサー、運転支援システムなどが標準。それでも、ひと回り大きなボディを持つものの、同等装備のトヨタカローラ(カローラ・スポーツ)やフォルクスワーゲン・ゴルフなどより割高なことは否めない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    役職:雑誌編集者
    自動車ジャーナリストとして15年以上の経験を持つ編集者。2016年にニュース編集者としてAUTOCARに加わり、副編集長、編集長を経て、2022年に雑誌担当編集者に就任した。現在は英国で発行される週刊誌およびオンライン版の運営を監督している。業界の有力者へのインタビューを得意とし、世界中で注目されるニュース記事を次々と生み出してきた。英BBCなどの大手メディアにもコメンテーターとして出演することが多い。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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