整備士泣かせ? 作りが複雑すぎるクルマ 17選 驚くほど手の込んだ構造
公開 : 2025.03.22 18:25
BRM H16(1966年)
一度耳にしたら忘れられないBRM H16は、F1の1966年シーズンにおけるレギュレーション変更に対して英国レーシングチームが編み出した回答である。有名なエンジンチューナーのトニー・ラッド氏とジェフ・ジョンソン氏が、2基のフラットエイト(水平対向8気筒)を2段重ねにした “H16” エンジンを開発したのだ。それぞれにクランクシャフトがあり、ギアでつながっている。
ロータスはこのH型エンジンを自社のタイプ43に導入したが、類まれな才能を持つジム・クラーク氏をもってしても、グランプリで優勝できたのは1度だけ。エンジンの力強さは証明書付きだが、重く、信頼性に欠け、整備も困難だった。翌年、ロータスは新型のフォードDFVに切り替え、H16には見向きもしなくなった。

シトロエンSM(1970年)
SMは、1968年にシトロエンがマセラティを買収した結果生まれたクルマである。イタリア企業の2.7L V6エンジンを搭載したことで、シトロエンはまずまずの性能を手に入れたが、DSから流用したハイドロニューマチック・サスペンションとブレーキにも動力を供給しなければならない。ステアリングの操舵角と連動するヘッドライトや高度な計器盤なども装備したSMは、先進的だが壊れやすいクルマでもあった。
その脆弱さゆえ、マセラティのV6エンジンを正常に動作させ、シトロエンのサスペンションを機能させるためには入念かつ定期的なメンテナンスが不可欠だ。そんなSMは、正常に走らせ続けるのが非常に難しいクルマとして知られていた。このクルマの優秀さがしっかり評価されるようになったのは、つい最近のことである。

シトロエン・ビロトール(1973年)
シトロエンはロータリーエンジンに興味を示していたが、ビロトールで試験的に導入した後、最終的には断念した。NSU Ro80にも搭載されていたコモトール製『624』ツインローターエンジンを使用し、GSベースの車両を高速で洗練されたクルーザーに変えた。シトロエンは847台を生産し、一般に販売した。
しかし、プジョーがシトロエンを買収すると、同時期のほとんどのモデルと同じように、ビロトールも販売中止となった。エンジンが複雑で信頼性に欠けることから、シトロエンのブランドにダメージを与えると考えたためである。わずかに現存するビロトールは、シトロエンが独立企業として運営を続けていた場合、どのような発展を遂げていたかを垣間見せてくれる。

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