プジョー206 CC(2000年)

クーペ・カブリオレ(CC)の魅力を大いに高めたのはメルセデス・ベンツSLKだが、それを大衆に広めたのは2000年のプジョー206 CCであった。普段はクーペのような快適性と静寂性を楽しめ、ボタンひとつで新鮮な空気の中をドライブできる。206 CCが合計36万台を売り上げたのも不思議ではない。

しかし、この便利なルーフの複雑なメカニズムには注意しなければならない。このルーフはフランスのユーリエ(Heuliez)社が製造したものだが、ラッチの不具合によりリアデッキの下にしっかり格納できないという悪い評判が広まった。また、マイクロスイッチが故障してルーフの開閉ができなくなることや、雨漏りするという欠点もあった。

プジョー206 CC(2000年)
プジョー206 CC(2000年)

フォルクスワーゲン・フェートン(2002年)

フォルクスワーゲンは、高級セダンのフェートンでなんとも野心的な目標を掲げた。それは、車内を涼しく保ちながら、気温50度の高温環境下を300km/hの速度で巡航できるという困難な性能要求だった。難易度は高かったが、後にベントレー・コンチネンタルGT にも搭載されることになる6.0L W12エンジンのおかげで、この目標を達成することができた。

また、パドルシフトやセンターコンソールのインフォテインメント・ディスプレイなど、当時としてはまだ一般的ではなかった装備も搭載されている。こうした先進技術により、フェートンは競合他社を大きく引き離していたが、消費者の心を動かすことはできなかった。消費者は「VW」バッジのついた高級セダンを避け、いつものプレミアムブランドを好んだ。

フォルクスワーゲン・フェートン(2002年)
フォルクスワーゲン・フェートン(2002年)

シトロエンC3プルリエル

シトロエンC3プルリエルは、クーペ・カブリオレの常識を覆すものだった。折りたたみ式ルーフにこだわる必要はない。ルーフを取り外せば、4人乗りのオープンカーやピックアップトラックにすることもできるではないか! そして、C3プルリエルはルーフを完全脱着可能な構造とすることで、5種類のボディスタイルに変化するという斬新なアイデアを実現した。

しかし、問題も生じた。まず、ルーフレールを取り外したり、再び取り付けたりするのに少し力が必要だ。次に、取り外したレールを車内に保管しておく場所がないため、外出中に雨が降り出すと、乗員も内装もずぶ濡れになってしまう。

シトロエンC3プルリエル
シトロエンC3プルリエル

また、ガタつきや雨漏りといった品質上の問題も明らかになり、C3プルリエルは求められてもいないのに複雑すぎる機構を備えたクルマとして記憶されることになった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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