【詳細データテスト】メルセデス・ベンツEクラス 強力で扱いやすいエンジン 高バランスのハンドリング

公開 : 2025.03.22 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

Eクラスのルーツは1947年まで遡ることができるが、それはまたディーゼル車の歴史でもある。Eクラスの祖先ともいうべきW115、そのトランクリッドにDの文字がはじめて掲げられたのは1968年。それからさほど経たないうちに、直5が登場する。5気筒の250D、続いて300Dは、1970〜80年代の最上位ディーゼルであり続けた。この頃、メルセデスはワゴンボディを用意するようになった。

EクラスにはV6ディーゼルが用意された時期もあったが、2017年には古き佳き直6のターボディーゼルであるOM656が登場した。今回のE450dは、その進化版で、48VのISGと電動ターボを採用し、トータルで372psと76.5kg−mを発生。このトルクは、BMW M5に積まれる4.4LのV8に匹敵する。

OM656は2017年から使われている直6ディーゼルで、まずはSクラスに搭載された。マイルドハイブリッドで、低回転で76.5kg-mを発生する。
OM656は2017年から使われている直6ディーゼルで、まずはSクラスに搭載された。マイルドハイブリッドで、低回転で76.5kg-mを発生する。    JACK HARRISON

また、現行Eクラスに設定される4気筒よりシリンダーの多いエンジンは、これが唯一だ。少なくとも、量販モデルでは。現状のラインナップは、4気筒ガソリンのE200と、そのPHEV版であるE300e、ディーゼルは4気筒とPHEVのE220dとE300deで、6気筒ガソリンはない。AMGのE53ハイブリッド4マチックは、611psで10万ポンド(約1930万円)以上。E53にはワゴンもあるが、E450dのユーザーが代替案に選ぶモデルではないだろう。

トランスミッションは9G−トロニックプラスこと9速ATで、基本となる前後トルク配分は45:55。センターデフは多板クラッチ式で、トランスミッションケースに組み込まれる。必要とあれば、前後いずれかに70%の駆動力を送ることもできるが、最新の4マチック+のような完全な後輪駆動にはならない。トルクベクタリングも備えるが、デフそのものではなく、ブレーキを使うものだ。

E450dはトルクが豊かで、それを生かす4WDも持つ。Eクラス・エステートのサスペンションは、リアに自動車高調整機能付きエアスプリングを装備するが、E450dは2500ポンド(約48万円)のリファインメントパッケージが標準装備されるので、四輪エアサスとなる。セダンは後輪操舵も加わる。ちなみに、5シリーズやA6に四輪エアサスは用意されていない。

重量は軽くないが、EV時代にあってはとくに重いようには思えない。ベーシックな仕様では、セダンが1900kg、ワゴンが2065kg。テスト車はエクスクルーシブ・プレミアムプラス仕様で、73Lタンクを満タンにして2167kgだった。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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