【ランチア・ストラトスのオリジンが薬師寺に降臨】その名はゼロ!ガンディーニが描いた斬新すぎるコンセプトモデル

公開 : 2025.03.23 11:45

2011年のオークション76万1600ユーロにて落札

ストラトスHFゼロの名称だが、実はヌッチオは『成層圏の限界』を意味する『ストラトリミテ』と呼ぼうとしており、実際に社内でもそう呼んでいたという。しかし、これまでにないクルマというニュアンスも含め従業員の間で呼ばれていたニックネーム『ゼロ』を正式に採用。そして成層圏を意味する『ストラトス』の名が与えられたのだ。

カロッツェリア・ベルトーネのコレクションから、このストラトスHFゼロをはじめマルツァルなどが放出されたのは2011年のこと。そしてRMオークションがヴィラ・デステで開催したオークションにて、このストラトスHFゼロは76万1600ユーロ(経費等込み)にて落札された。

筆者は2011年にヴィラ・デステのオークションで落札された場に居合わせた。
筆者は2011年にヴィラ・デステのオークションで落札された場に居合わせた。    内田俊一

そして現在はアメリカ・カリフォルニアにあり、オーナーはペブルビーチ・コンクールデレガンスのスポンサーになるなど、歴史あるクルマに理解のある人物のようだ。日本では、1988年ごろにパイオニアのCDチェンジャー、カロッツェリアのCMでシルバーに塗装されたストラトスHFゼロを見た人も多かったのではないだろうか。それから約40年。実際に日本で実車を見ることができたのは、幸せ以外の何物でもないだろう。

ランチア・ストラトスHFゼロのスペック

全長×全幅:3580×1870mm
ホイールベース:2220mm
トレッド:F1343mm R1458mm
エンジン:狭角V型4気筒
排気量:1584cc
最高出力:115bhp
キャブレター:2基のツインチョーク・ソレックスC42 DDHF
トランスミッション:5速MT
サスペンション:F縦型マクファーソン Rダブルウィッシュボーン
ブレーキ:4輪ディスク

薬師寺へ搬入される前に撮影したカット。奥はフェラーリ512M。
薬師寺へ搬入される前に撮影したカット。奥はフェラーリ512M。    内田俊一

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内田千鶴子

    Chizuko Uchida

    イタリアとクルマが大好きで、1968年式のFiat 850 spider Serie2を20年以上所有。本国のクラブツーリングにも何度か参加している。イタリア旅行時は、レンタカーを借りて一人で走り回る。たまたま夫が自動車ジャーナリストだったことをきっかけに取材を手伝うことになり、写真を撮ったり、運転をしたりすることになった。地図は常にノースアップで読み、長距離試乗の時はナビを設定していても、ナビシートで常に自分で地図を見ていないと落ち着かない。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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