ルノー・アルカナでストラトス・ゼロに会いに奈良まで行った話【新米編集長コラム#24】

公開 : 2025.03.23 12:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第24回は、ルノー・アルカナ・に乗って、奈良までストラトス・ゼロに会いに行った話です。

ストラトス・ゼロも海外からきます!

奈良の世界遺産である薬師寺境内にて『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025』が開催されるという話はだいぶ前から知っていて、実は当コラムの#16でご紹介した、主催の木村英智さんと愛車のランチア・ハイエナ・ザガート・プロトタイプを取材した際に、ご本人からお誘いを受けていた。

そのためスケジュールは空けてあったものの、レポートを内田俊一さんにお任せすることになったのと、さすがに奈良という物理的な場所の遠さで躊躇していた。そんな時に背中を押す……いや、後ろから奈良向かって大砲を打たれたかのような、衝撃的な事実が内田さんからのメールで告げられた。

ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌEテックフルハイブリッドで奈良へ。
ルノーアルカナ・エスプリ・アルピーヌEテックフルハイブリッドで奈良へ。    平井大介

『ストラトス・ゼロも海外からきます!』

ス、ス、ス、ス、ス、ス、ス、ス、ストラトス・ゼロだと!!!!!!!

その時の気持ちを文字で表現するならば、これくらいは興奮していたと思う。ちょっとだけ背景を書いておくと、1973年生まれの筆者にとって、同じ年に市販版がデビューしたランチア・ストラトスこそが永遠のナンバーワンスーパーカーで、そのオリジンといえるゼロは、神とも呼べる存在なのだ。

初めて見たのは、2008年12月のこと。1970年にゼロが発表されたイタリアのトリノ・ショー会場と同じ場所で開催中の『ドリーム・ミュージアム』というイベントを取材した際に、展示されていたのである。他にもマルツァル、カラボ、モデューロ、ブーメランといったコンセプトカーが並ぶ、文字どおり夢の空間! であるが、そこで唯一カメラマンにお願いして2ショットを撮ったのがゼロだった。

その後、2019年にトリノの自動車博物館で再会することになり、その時に撮ったのが3月7日の告知記事に掲載したもの。ゼロの歴史は別稿で内田さんに解説して頂いたので割愛するが、そういった思い入れがあり、奈良に向かう決意ができたのであった。

タイミングよく頂いた長距離試乗のお話

奈良往復のアシは、タイミングよく長距離試乗のお話を頂けたこともあり、『ルノー・アルカナ・エスプリ・アルピーヌEテック・フルハイブリッド』を選んだ。アルカナは#8で書かせて頂いたとおり、ルノーとアルピーヌのダブルネームが魅力となる好きな1台だ。そのレポートで『シートがもしかして体形に合わない?(これは後日検証予定)』と書いたので、その検証も兼ねて連れ出すことにした次第である。

横浜で借りて走り出した第一印象は、やはりシートは体形に合わないかなぁというもの。座面が思ったよりも長いのだ。しかし今回は約1000km乗るので諦めたくない! と思い、立ち寄った駐車場であらゆるポジションを試し、少し背もたれを寝かし気味にしてランバーサポートを入れたところ、ちょうどはまった瞬間がありひと安心。

ルノー・アルカナにエスプリ・アルピーヌと呼ばれる新たなトリムを施している。
ルノー・アルカナにエスプリ・アルピーヌと呼ばれる新たなトリムを施している。    平井大介

また、書いておきたいのは、純正ナビがないこと。これは普通ならウィークポイントだが、輸入車の中には使い勝手の悪い純正ナビが意外と多く、個人的にはアップル・カープレイに頼ることが多い。だったら、最初から装備しないで価格を抑えてくれたほうがよほどいいとすら思っている。つまりこれは、前向きにも捉えられるのだ。

さて、往復でまず思ったのは、19インチのタイヤにもかかわらず、不快な突き上げがないこと。また、試乗車が広報車にしては珍しく約1万kmの走行距離だったが、ひと昔からルノーは、1万kmを超えたあたりから硬さがとれてきて乗り心地が変わり、ちょうどよくなる傾向にあり、まさにこのアルカナも変身の最中という感じであった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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