ルノー・アルカナでストラトス・ゼロに会いに奈良まで行った話【新米編集長コラム#24】
公開 : 2025.03.23 12:05
雨と寒さで心が折れ始めた
初日となる土曜日午前中に自宅のある静岡県東部を出発。15時頃に到着した奈良はあいにくの雨で、しかも3月とは思えぬ寒さ。会場に入ると雨だからかゼロの姿は見当たらず、もちろん見るべきクルマはたくさんあるのだが、雨と寒さで心が折れ始めたためいったんクルマに避難。17時からのナイトタイムスペシャルセレブレーション開始を待つ。
時間になり会場に戻ると、当初主催者が狙った夕陽に包まれるマジックアワーとはならなかったが、境内に移動してきた参加車がズラリと並び、まさに壮観。しかしゼロをひと目見なければ……と思っていたところ内田さんから電話で「そこの裏にいます!」との知らせ。駆けつけると、雨に濡れた『ランチア・ストラトスHFゼロ』(正式エントリー名)が、薬師寺金堂の前に佇んでいるではないか!

「小さい!」と思わず口に出た。周囲に既に比較対象となる人がたくさんいたことと、その奥に金堂の中にある巨大な薬師三尊像が見えたせいもあるだろう。しかしタイヤサイズは何と12インチで、想像している大きさの8割くらいしかない印象だ。とにかく放たれるオーラが半端なく、手に傘とカメラを持っていなかったら、間違いなく拝んでいたと思う。
あのストラトス・ゼロが日本に、しかも薬師寺の境内に……。この一生に一度しかないであろうシチュエーションに感動し、満足し、翌朝も雨予報ということもあり、コンクール取材は内田さんにお任せして、これで終えることにしたのである。
上品で古都にマッチするアルカナのデザイン
翌日早朝、奈良の街中で写真を撮っていたところ、ルノー・アルカナというクルマが実に上品で古都とマッチすることに気が付いた。クーペSUVということもあり、ルノーにしては珍しく足元がしっかりした、アスリートもしくは動物のような躍動感があるデザインだ。
ボディカラーは『ブラン・ペルレM』と呼ばれるパールホワイトで、SAなどで他のホワイトと並ぶと、ちょっと落ち着いた感じに見える。ルーフは『ノワール・メタルM』と呼ばれるブラックで、この組み合わせも上品さの理由になっているように思えた。

Eテックは以前書いたように、現在電動化モデルを購入するうえで、最適解のひとつだと真剣に思っている。排ガスと燃費は抑えたい、しかしBEVだといちいち充電するのが面倒だし、プラグインハイブリッドはクルマが重いので乗り味に影響が出る。
その点アルカナなどが搭載するストロングハイブリッドシステムのEテックは、充電の煩わしさもないし、車重も1470kgと重いとは言えない。
なお、実際の燃費は、1010.2kmを走って17.8km/Lというものであった。これは新東名高速道路で、制限速度の120km/h固定で走らせたところ、この速度を維持することの燃費がイマイチなように見えたのと、奈良でワインディングを結構走ったことも考えると、実際にはもっと伸びそうな気がした。ちなみにカタログスペック(WLTCモード)は22.8km/Lだ。
また、残りの走行距離80kmで給油したが、その時点で754.1km走っていたので、800kmは走れることになる。これは実用車として、かなりいい数値ではないだろうか。個人的にはもう少し燃費が悪くてもいいので、中間トルクがもっとあると気持ちよく走れそうな気がした。
あと最後に書いておきたいのは、EVモードの存在。奈良市内を走っていた時に鹿と遭遇し、思わずスイッチを押した。きっと鹿たちもエンジン音には慣れていると思うが、それでも、驚かせたくないではないか。そういった意味でも、『万能のアスリート』とも言えるのが、ルノー・アルカナというクルマなのであった。
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