インタークラシックス & トップモビール
2015.01.08〜15
1月8日から11日の期間、オランダのマーストリヒトにあるMECCエキシビジョン・センターでインタークラシックス & トップモビール・ショーが開催された。バラエティに富むクルマが3万3000㎡という広大な会場を埋め尽くし、ヨーロッパ北部から集まった来場者を魅了していた。
このイベントでは、スワロー・サイドカー(SS)カンパニーにより1935年の暮れにデザインされたジャガーのエンブレム80周年記念展が行われている。ウィリアム・ライオンズ(1956年に爵位を授与されサー・ウィリアム・ライオンズとなる)とウィリアム・ウォームズレーにより1922年にブラックプールで設立された会社を起源とするこのメーカーは、翌年には英国自動車産業の中心地であったコベントリーへと移転している。社名変更は、SSという文字がヒトラーのナチ親衛隊を思い起こさせるという理由で行われたもの。主なプロダクションはサイドカーだったが、オースチン・セブンのようなモデル向けに廉価なコーチビルド・ボディを作成する事業にも手を広げた。ちなみにそうしたモデルの生産は、SSの名で製造された第1号車、SS1が1931年に誕生するよりも前の話である。
イベントの主催者は、ジャガー・ダイムラー・クラブ・オランダとともに1934年のSS1エアライン・スポーツサルーンから、有名なXK120、Cタイプ、Dタイプ、XJR9、XJ220というジャガー史に輝く多くのモデルを集めた。そのなかには、考案者であるマイク・ホーソンの死により生産が中止されたMk-IIカントリー・ブレークも含まれている。なお、そのモデルは後にジャガーのレース活動におけるサービス車両として使用されている。数多くのクラシック・ジャガーが並び、それらを販売するクラシックカー・ディーラーが軒を連ねるなか、現行モデルがオフィシャル・ディーラーにより展示されていた。
もうひとつの呼び物は「グランプリ・クラシックス」で、古くは戦前のブガッティ、アルファ・ロメオ 8C2300、アウトウニオンA/35(レプリカ)が展示された。ほかにも’50年代のフェラーリ340、タルボ・ラーゴT26Cなど、’60年代はロータス18および49、’70年代からはマーチ701、マクラーレンM26、ロータス79、’80年代はアローズA3-3、’90年代ではフェラーリF92Aが並んだ。
また、数多くのレアモデルが会場には点在していた。’50年代初頭に米国で生産されたグラスパーG2は、独自のファイバーグラス製ボディをまとい、映画 「カーズ」 に出てくるマシンを思い起こさせるモデルだ。ほかにも1929年のパッカードS8 グランプリ、サンビーム30HP 90、1939年のアルヴィス 12/70スペシャルといったモデルや、美しいレストレーションが施されたマセラティA6-G アレマーノ・クーペ、ピニンファリーナにより1台だけ製作されたフェラーリ・ロッサ(S/N:104982)が会場を賑わせた。
このほか「ポルシェ・セレクション」と題され356と911が飾られていた。そのなかには、911カレラ風、997″レトロスペクティブ” (モデルのルーツに立ち戻るボディ・キットを付けた現代のポルシェ)、掘り出し物の356コンチネンタルといったモデルもあった。しかし、そのいずれもその内容とカラーリングの面で、そばにあったファセル・ヴェガには遠く及ばなかった。ヴェガという名だけあってずっと光輝いて見えたのである。
ほかにも、数多くの心に残る展示、書籍や雑誌の販売、パーツやスケールモデルのショップが目を楽しませてくれ、同時開催されたコイズ・オークションといった出し物が今回のショーを一層興味深いものにしていた。