【今ボルボはどうなっている?】日本でも予想以上に電動化が浸透!明確なメッセージにスウェーデンらしい実直さ

公開 : 2025.03.25 11:45

3月中旬に東京で行われた『新型ボルボXC90』の試乗会では、最近のボルボの状況についての解説もありました。それがとても参考になる内容でしたので、ご紹介します。森口将之のレポートです。

新型XC90発表と同時に目標時期を変更

3月中旬に東京で行われた『新型ボルボXC90』の試乗会では、最近のボルボの状況についての解説もあった。それがとても参考になる内容だったので、紹介していくことにしよう。

まずは電動化について。ボルボ・カーズは2017年に、2019年から全モデルを電動化にすると発表した。そのとおり、2019年以降に発売された新型車はすべて、EV、PHEVあるいはMHEVのみとなり、V40など電動化対応していない車種は生産を終了した。

3月中旬に東京で行われた『新型ボルボXC90』の試乗会にて。
3月中旬に東京で行われた『新型ボルボXC90』の試乗会にて。    中島仁菜

続いてボルボは2030年までに、すべてのモデルをEVにすると発表した。しかしこちらについては昨年9月、新型XC90の発表と同時に、目標時期を変更するとアナウンスされたことは、覚えている人もいるだろう。

具体的には2025年までに50~60%、2030年までに90~100%をEVあるいはPHEVにするという目標になり、EVの投入計画に変更はないものの、PHEVの開発にも継続して取り組んでいくとした。

現在多くのブランドで、このようなEVシフトの軌道修正を図っているが、明確なアナウンスをせず、なし崩し的に変えていこうとしているブランドも見受けられる。そんな中でのボルボの明確なメッセージには、スウェーデンらしい実直さを感じたものだ。

それでは昨年のパワーユニット別の販売比率はどうなっているかというと、グローバルではEVとPHEVを合わせてほぼ半分を占めており、日本でもEVとPHEVがそれぞれ約15%を占めるなど、予想以上に順調に電動化が浸透していることがわかる。

EX30テスラモデルYモデル3に続いて3位

さらに、日本での販売では、プレミアムEVマーケットでボルボは5位、PHEVを合わせれば4位の販売成績を挙げている。ちなみにプレミアムEVのトップはやはりテスラで、PHEVを含めての1位はレクサスだ。

車種別ではEX30が、テスラのモデルY、モデル3に続いて3位に入っている。つまりポルシェを含めたジャーマンプレミアムやミニの上だ。たしかにEX30は都内でちょくちょく見かけるようになった。

BEVの販売でテスラの2台に続く3位と、好評のボルボEX30。
BEVの販売でテスラの2台に続く3位と、好評のボルボEX30。    山田真人

ちなみに全ボルボでの販売台数は、グローバルでは増加基調なのに対し、日本では2019年を頂点として、下がりつつあるというデータも出された。このあたりの数字を実直に出すのもボルボらしい。

ただし2024年については、マイナス7.8%ではあるものの、輸入車全体がマイナス8.6%なので、ボルボだけが突出して悪いというわけではない。

車種別の販売台数では、グローバルではXC60がトップ、日本ではXC40が1位という予想どおりの結果だったが、驚いたのは今回乗ったXC90が、想像以上に売れていること。

グローバルでは約10万台を売ってこの2台に続く3番目、日本でも約1100台を販売してV60、EX30に続く5番目であり、プレミアムEセグメントのSUVでは7位につけている。

しかも昨年はモデル末期であったにもかかわらず、グローバルでは前年比で増加しており、日本でもマイナス4.1%と、ボルボ全体よりも減少幅が小さい。根強い人気を得ている車種なのだ。

ちなみに最近、ボルボがステーションワゴンの廃止を検討しているという、ちょっとショッキングなニュースが入ったが、たしかに我が国ではV60が根強い人気であるものの、グローバルではセダンのS60やS90より下だった。

なので、こういうニュースが出てくるのも仕方がないのかもしれないし、それだけ世界レベルでSUV人気が定着しているということだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    中島仁菜

    Nina Nakajima

    幅広いジャンルを手がける広告制作会社のカメラマンとして広告やメディアの世界で経験を積み、その後フリーランスとして独立。被写体やジャンルを限定することなく活動し、特にアパレルや自動車関係に対しては、常に自分らしい目線、テイストを心がけて撮影に臨む。近年は企業ウェブサイトの撮影ディレクションにも携わるなど、新しい世界へも挑戦中。そんな、クリエイティブな活動に奔走しながらにして、毎晩の晩酌と、YouTubeでのラッコ鑑賞は活力を維持するために欠かせない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×