個人的に思い入れの強い、1960年代コーギー製ミニカー【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第5回】

公開 : 2025.03.26 17:05

まずはコルティナ・エステート

1台目は440番の英国フォード・コンサル・コルティナ・スーパー・エステート。もう1台が341番のミニ・マーコスGT 850です。

まずはコルティナ・エステートについて。こちらはワゴンのモデルらしくテールゲート開閉のギミックを備えていますが、このモデルの肝はなんといってもその付属アクセサリー。ご覧の通り同スケールのゴルファー、キャディの少年、ゴルフバッグのフィギュアが付属しており、パッケージもゴルフ場を再現したジオラマ仕立てになっています。

440番の英国フォード・コンサル・コルティナ・スーパー・エステート。
440番の英国フォード・コンサル・コルティナ・スーパー・エステート。    長尾循

ウッドパネルのエステートを駆って優雅にゴルフを楽しむ英国紳士というシチュエーションに、まだワゴン(=エステート)とライトバンの違いすらあやふやだった当時の日本の少年は、大いなる彼我の差を感じたわけであります。

もう1台はミニ・マーコス

そしてもう1台がミニ・マーコス。こちらも英国車好きにはお馴染み、英国の小規模スポーツカーメーカーであるマーコスがミニのコンポーネンツを流用して仕立てた小型FWDスポーツカーです。

こちらのミニカーには『golden jacks』と名付けられたギミックが仕込まれており、シャシー裏のピンを立てるとタイヤを外すことができます。4本のピンを全て立ててタイヤを外して展示すると、あたかもウマに載せられ整備中のような佇まいに。

こちらは341番のミニ・マーコスGT 850。
こちらは341番のミニ・マーコスGT 850。    長尾循

このギミックを備えたミニカーは他にも何車種かありましたが、ミニ・マーコスのパッケージにはサーキットかヒルクライムか、出走を前にタイヤ交換をしている様なイラストが描かれており、このクルマのキャラクターには特にふさわしいギミックといえましょう。

ちなみにこのミニ・マーコスはボンネットとドアも開閉可能。ボンネットの下にはSUツインのAタイプ・エンジンも再現され、室内のシートは前後にスライドするといった芸の細かさです。コルティナ・エステート、ミニ・マーコス共には1960年代半ばから後半、コーギーが最も脂の乗った時期にリリースされたモデルです。

というわけで、今回は個人的に思い入れの強い2台の1960年代コーギー製ミニカーをご紹介してみました。少年時代に出会った『佳きもの』は歳をとった今でもなお、当時の記憶と共に変わらず『佳きもの』であり続けているようです。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    長尾循

    Jun Nagao

    1962年生まれ。企画室ネコ時代を知る最後の世代としてモデル・カーズとカー・マガジンの編集に携わったのち定年退職。子供の頃からの夢「クルマと模型で遊んで暮らす人生」を目指し(既に実践中か?)今なおフリーランスとして仕事に追われる日々。1985年に買ったスーパーセブンにいまだに乗り続けている進歩のない人。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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