ホンダ・ジェイド・ハイブリッドX
公開 : 2015.02.26 23:50 更新 : 2017.05.29 19:09
パワー・ユニットのON/OFFスイッチはステアリング・コラムの左下。搭載される1.5ℓ直噴エンジン×ハイブリッドは基本的にヴェゼルと同様で、細かな制御系をジェイドに合わせて変更したもの。純ガソリンエンジンなら2〜2.5ℓに相当するというトルクは強力で、スロットルを踏み込むと、モーターのみでスルスルと加速していく。エンジンがかかるのは約15km/hを過ぎてからで、さすがに始動したことが気付かない…というほどではないが、同系統のユニットを搭載するフィットやヴェゼルに比べると違いは明らかで、ハイブリッド・システム自体も洗練されている印象を受ける。
組み合わされるトランスミッションは、ジェイド専用にセッティングされた7速DCT。スポーティながら、より上質できめ細やかな走りを楽しめるというジェイドの性格にあわせ、あえてパドルシフトは用意されない。それでもシフトアップは瞬時に行われ、ヴェゼルと比べて約200kg重いボディを伸びやかに加速させていく。
さらにジェイドの真骨頂といえるのが、ワインディングでの運動性能だ。高速道路では快適なロング・ツアラーらしさを感じさせながら、ひとたびワインディングに入ると、スポーツ・セダンさながらの走りっぷりを見せる。先代オデッセイに比べて捻り剛性は20%アップ、曲げ剛性は70%も高められたというボディはあらゆる入力をしっかりと受け止め、強固なボディに組み合わされたサスペンションが路面のうねりもしなやかにいなしていく。なかでも新たに採用されたリアのダブル・ウィッシュボーン式サスは秀逸で、ペースを上げていってもリア・タイヤをしっかりと路面に押し付けている。
軽やかなハンドリング性能を楽しみつつも、2760mmというロング・ホイールベースのおかげもあって全体の乗り心地は穏やかで快適だ。3列目シートはさすがに突き上げ感を感じるものの、2列目シートはスポーツ・サルーンと同等の静けさや乗り心地を楽しむことができる。
もうひとつジェイドの特徴であるシート配列は、2列めシートに独特のV字スライド機構を備えた2:2:2。燃料タンクはホンダ車お得意のセンター・タンク・レイアウトではなく、通常の床下に収納する極薄タイプとされており、そのため3列目シートはラゲッジ・ルーム下部に収納することができる。この3列目シートは正直なところ、大人が乗るには少々厳しい。座面が小さいのもあるが、足を納めるべき床下スペースがほとんどないからだ。
いっぽうキャプテン・タイプのシートを採用した2列目シートは、約170mmというロングスライド機構を備える。後方に向かって左右両席が車体中央に近づいていく方式は、ダブル・ウィッシュボーン式サスの採用による、タイやハウスの車体内側への張り出しをクリアするため。最後端まで下げると、約60mm車体中央へ寄るこちになるが、全席との空間は大きく広がる。脚を組んでもまだ数十センチ単位で空間が確保されているのは感動的だ。