【今はまだ時期ではない】トヨタが『ヤリスEV』計画中 ただし大型モデルの展開を優先

公開 : 2025.03.27 06:45

トヨタは『ヤリス』に近い小型EVの導入を計画中ですが、「今はまだ適切な時期ではない」と控えめな姿勢を見せています。C-HR+やbZ4Xなど、より大型のセグメントからEVを展開していく方針です。

デビューは2027年以降か

トヨタは『ヤリス』の後継となる小型のEVモデルを計画しているが、欧州部門のプロダクト&マーケティング責任者であるアンドレア・カルッチ氏は「今はまだ適切な時期ではない」と慎重な姿勢を見せた。

ヤリスは、英国におけるトヨタのベストセラー車となっており、欧州市場全体ではトヨタで2番目に売れている主力モデルだ。昨年は英国で約2万2000台を販売し、同社の販売台数の約21%を占めた。

トヨタ・ヤリス(欧州仕様)
トヨタ・ヤリス(欧州仕様)

AUTOCARの取材で、ヤリスのEV版の計画について尋ねられたカルッチ氏は、「わたし達は最も急成長している(C、D、E)セグメントでEVの販売を開始することにしました。ヤリスEVの導入に適切なタイミングもやがて訪れるでしょうが、今ではありません」と答えた。

トヨタは現在、新型C-HR+、改良型bZ4Xスズキと共同開発したアーバンクルーザーという3車種の強力なEVラインナップを揃えている。これらのSUV群に小型モデルを追加しないのは「選択の結果」だとカルッチ氏は語る。

トヨタ英国部門の責任者であるスコット・トンプソン氏は、英国ではルノー5(ヤリスと同等サイズのEV)が好評であることから、このようなクルマに対するニーズはあるとの認識だ。

「タイミングと場所が当てはまれば、実現するでしょう。わたし達にとって重要なのは、適切なクルマ、適切な場所、適切なタイミングです。現時点で拡大しているのは、わたし達にとって今まさに、欧州に適したセグメントなのです」とトンプソン氏は言う。

トヨタは2026年末までに3車種の新型EVを発売する予定だが、それらはピックアップトラック、ファストバック、SUVとなることが示唆されている。そのため、ヤリスのような小型EVは2020年代末に登場する可能性が高い。

市販化が実現すれば、『ヤリス』の名称が与えられると予想されている。カルッチ氏はAUTOCARの取材に対し、今後のトヨタのEVは、最近公開されたC-HR+のように「現行車」で「馴染みのある」名称を使用すると語っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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