映像作品でもおなじみ 米国の象徴的なパトカー 31選(前編) 黎明期のポリスワゴン

公開 : 2025.03.30 18:25

強力なエンジンとタフな構造、警官の安全と快適性に配慮した車内設計……。今回は米国を代表するパトカーを年代順に紹介します。これまではセダンが主流でしたが、今は主役の座をSUVへ譲っています。

全車両、出動せよ!

パトカーが嫌いな人などいるだろうか? まぁ、悪者ならそうかもしれないが、それ以外の人は、点滅するライト、鳴り響く無線、タイヤのスキール音、そして強力なエンジンを搭載した大型セダンに夢中だ。

今回は、この写真の1978年型プリムス・ヴォラーレのような米国の典型的なパトカーを紹介していく。同時に、シボレーダッジフォードの最新ハイテク車両の内部を見ていき、最後にパトカーの今後の姿も考えてみたい。

シボレー、ダッジ、フォードなど米国を代表するパトカーを紹介する。
シボレー、ダッジ、フォードなど米国を代表するパトカーを紹介する。

ラピッド・モデルF 700Bポリス・パトロールワゴン(1910年)

パトカーの歴史は、自動車の歴史とほぼ同じくらい古い。その初期の1台は、1899年からオハイオ州アクロンでパトロールを行っていた電気自動車(EV)のワゴンであると考えられている。

トラックメーカーのラピッド・モーター・ビークル社は1909年にGMに買収された。このモデルF 700Bポリス・パトロールワゴンは1910年に開発されたもので、その2年後にはラピッドという名称がGMCに置き換えられた。

ラピッド・モデルF 700Bポリス・パトロールワゴン(1910年)
ラピッド・モデルF 700Bポリス・パトロールワゴン(1910年)

フォード・モデルTポリストラック(1919年)

1919年、ここに写っているフォード・モデルTは、記録に残っていない米国のどこかの地域で警察の輸送用車両として使用されていた。モデルTは1908年から27年の間に1500万台も製造され、数えきれないほどの用途に使われたが、ポリストラックはその1つに過ぎない。

フォード・モデルTポリストラック(1919年)
フォード・モデルTポリストラック(1919年)

リンカーン・フェートン・ポリスフライヤー(1924年)

1922年にフォードが買収したリンカーンは、ポリスフライヤーという警察車両を製造していた。フォードが警察用に特注モデルを開発する何年も前のことだ。Lシリーズモデルをベースにしたフライヤーには、四輪ブレーキ、スポットライト、防弾フロントガラス、ガンラックが装備されており、禁酒法時代の密造酒製造者を追跡するにはおあつらえ向きだった。

パワートレインは、最高出力90psのV8エンジンに3速マニュアル・トランスミッションが組み合わされている。

リンカーン・フェートン・ポリスフライヤー(1924年)
リンカーン・フェートン・ポリスフライヤー(1924年)

GMCカウルシャシー(1929年)

この1929年型GMCカウルシャシーは、現代のキャブ付きシャシーとよく似ており、工場出荷時にはフロント部分のボディのみが取り付けられていた。当時、購入者は用途に合わせて、サードパーティのコーチビルダーにリアセクションの製作を依頼するのが一般的だった。このカウルシャシーの場合は、警察の囚人輸送用に強化型バンボディが用意された。

GMCカウルシャシー(1929年)
GMCカウルシャシー(1929年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グラハム・ヒープス

    Graham Heeps

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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