【詳細データテスト】ポルシェ911 適度なハイブリッド GT3に次ぐ走り 公道ではベストな911

公開 : 2025.03.29 20:25

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

刷新された911のモデルレンジは、10万ポンド(約1940万円)をわずかに切るカレラから。とはいえ、これはオプションレスの価格なので、コンフィギュレーターの開始地点にしか存在しない仕様だと言える。

その上は、カレラ4/4Sが未発売なので、カレラTとカレラSで、オープンモデルも設定。GTSは13万2600ポンド(約2572万円)で、カレラ4GTSカブリオレは14万9100ポンド(約2893万円)だ。

GTSの残価率はヴァンテージ以上と予想されるが、BMW M4 CSも驚くほど高い残価が期待できる。
GTSの残価率はヴァンテージ以上と予想されるが、BMW M4 CSも驚くほど高い残価が期待できる。

さらに上を望むと、15万7300ポンド(約3052万円)のGT3とそのツーリングパッケージ。しかし、こちらは入手困難となるのが確実だ。

パフォーマンスと万能性を考えれば、後輪駆動のGTSは妥当な値付けだ。というのも、17万ポンド(約3298万円)級となるだろうターボを手に入れても、現実社会でGTS以上の速さを発揮させることは無理だから。しかも、ライバル不在と言える価格帯だ。アウディR8は姿を消し、メルセデスAMGやアストンマーティンの競合車はフロントエンジンな上にもっと高価だ。それでいて走行性能は同等で、経済性はやや上回る。

その燃費だが、ツーリングで12.1km/Lなので、航続距離は764kmとなる計算。左ハンドルであれば燃料タンク容量を83Lに拡大できるので、1007km走れることとなる。日常使いでも11.7km/Lというのは、500psオーバーで312km/hに達するクルマとしては上出来だ。アストンマーティン・ヴァンテージは、同じ使い方で9.5km/Lだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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