【詳細データテスト】ポルシェ911 適度なハイブリッド GT3に次ぐ走り 公道ではベストな911

公開 : 2025.03.29 20:25

結論 ★★★★★★★★★☆

最新のカレラGTSには、語るべき要素がふたつある。ひとつはその名前とキャラクターに関してだ。2000年代後半、既存パーツを組み合わせた仕様として登場し、幅広い911のラインナップでは端役的な存在だったが、GT3RSを別にすれば、もっとも向こう見ずで、エキサイティングで、独自性のあるグレードに突如としてなった。スリリングだが実用的で、おそらくロードゴーイング911としては理想的なモデルだ。

もうひとつが、T−ハイブリッド・パワートレインの登場だ。3.6Lの自然吸気で、パワーを抑えれば、より軽いクルマを作るということにもなり、もっと甘美なドライバーズカーになると思わずにはいられないかもしれない。しかしながら、法規的に911もハイブリッド化を避けられないなら、その方法としてこれは繊細なものだ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

結論:ハイブリッドシステムは、ハンドリングマシンのカレラをスーパーカーの領域に高めた。
結論:ハイブリッドシステムは、ハンドリングマシンのカレラをスーパーカーの領域に高めた。    JACK HARRISON

これほどワイルドなクルマだとは思っていなかった。いい意味でだ。新型3.6Lは、3.0Lツインターボと変わらぬしゃがれたサウンドを発し、コーナリングはダブルウィッシュボーンを備えたGT3に次ぐ。重量も、公称値より軽い。

マット・ソーンダース

正直に言って、電動化時代に30年前の3.6Lシングルターボが帰ってきた、とは思わないが、それが当たり前だと思わないでほしい。このパワートレインはおみごと。脱帽だ。

オプション追加のアドバイス

RSスパイダーホイールは無償オプションだが、見栄えは絶対にいい。テスト車はPDCC未装着だったが、なんの問題もなかった。カーボンセラミックブレーキなら、車重は1600kgを切るが、価格は15万ポンド(約2910万円)を超える。1105ポンド(約21.4万円)のルーフボックスはかなりスマートだ。

あとは、バケットシートや消火器を装備し、レーステックスを多用したGT3ライト的な仕様にするか、フロントリフトシステムやスポーツシートプラス、クラブレザー内装の日常使い重視とするか、選択を迫られる。

改善してほしいポイント

・走りを犠牲にせずに、ロードノイズの改善を追求し続けてもらいたい。
・8000rpm以上回る出来のいい新型モーターがほしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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