メルセデス・ベンツG500 4×4²

公開 : 2015.02.26 23:30  更新 : 2017.05.13 12:50

エンジンを掛ければ車体両側部から2本ずつ突き出したクローム・パイプから怒号ともいえる4.0ℓ直噴V8ユニットからの排気音がひと吹き。これだけでも十分に4×4²の逞しさに浸ることができる。

走りだすとコマンド・ポジションのおかげで、まさに ’下界を見おろすような’ 見晴らしのいいフロント・ビューが広がる。おかげで思い通りに車体を目標とするラインにのせることができ、同時に怖さは全くない。

前のクルマを通り越して、遥か前方まで見渡せることがこれほど気持ちのいいことなのだと実感した次第。ただしリア3面のブラインド・スポットには要注意。こればかりはリアビュー・カメラに頼らざるを得ない。

アンダーピニングの改良は、一般道でも効果あり。ほとんどのバンプを優しく丸め込み、コンフォート・モードにする限りは車格からは想像できない驚くほどの安定感を披露してくれる。

G500では、全般的に小刻みな上下動が見られたけれど、4×4²は極めて大らかに、悠々と走りゆく。なるほど堂々たるキャラクターは、なにもルックスだけではないのだ。

低回転域の強大なトルクと、迅速なシフト・チェンジのおかげで出だしはかなり獰猛な類。ただしそこはメルセデス。むやみに瞬発力を誇張することはせず、力強くありながら穏やかなキャラクターに徹する。

点火直後のエグゾースト・ノートは先述のとおり迫力のあるものだったけれど、走りだしてからは穏やかなサウンドトラックに落ち着く。ただしマフラー出口がリア・ドアの真下にあるため存在感は常に感じる。

正式なパフォーマンス・データは、まだ明かせないけれど、スペインで行った今回のテストにおける0-100km/hタイムの実測値は6.5秒をマーク。22インチのタイヤを履いたモデルの最高速度は209km/hに達した。

この手のクルマとしては十分すぎるほどの身体能力であることは言うに及ばず、金庫さながらの堅牢な骨格に起因するウインド・ノイズの抑制にも目を見張るものがある。トラベルの大きいサスペンションのおかげで長距離の移動も苦痛はまったくない。

極めて高い車高であるにもかかわらず、コーナリング時にボディがぐらりと倒れないのは実はタイヤの影響も大きく、粘り強さにもいい結果をもたらしている。スポーツ・モード時のダンパー・アレンジメントもオフロード車を超えたアビリティを確保している。

ステアリングに関してはG500と同様の古風な油圧式を採用。重みに関しては、このクルマのイメージどおりのどっしりとした類だ。ただし履いているタイヤだけに、キャンバーが細かく変化するたびにセンター付近のレスポンスが漠然としたものになる。これに関しては煮詰めが必要だ。

しかし敏捷性に関しては、当然ながらG63 AMG 6×6よりも上のレベルにある。おかげで、このサイズのクルマからは考えられない速度でも、自信をもってコーナーに飛び込むことができる。

もちろんオフロードの走破性も抜群である。低回転域におけるギアリングやデフロック・システムとの共同作業もあいまって、コンディションが極めて悪い状況でもこちらが努力するまでもなく、感覚としては ’勝手に’ 走破してくれるといった具合だ。

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