【スーパーカー超王が斬る】BEVで登場した新世代ロータス!エメヤとエレトレに『らしさ』はあるのか?(後編)

公開 : 2025.04.03 12:05  更新 : 2025.04.03 12:08

長年、古今東西のスーパーカーを取材してきた山崎元裕、人呼んで『スーパーカー超王』が、最新のロータスをテストします。今回のお題はBEVとして登場した『4ドアのハイパーGT=エメヤ』と『スーパーSUV=エレトレ』です。その後編となります。

ウルスSEに対して100ps以上のアドバンテージ

エメヤの走りを楽しんだ後で、続いてエレトレのステアリングを握ってみることにした。こちらは前でも触れたとおり、ロータス自身が『スーパーSUV』と称するニューモデルだ。

そのシャープで斬新なフィニッシュのボディスタイリングから、2024年にPHEV化されたランボルギーニのウルスSEあたりが直接のライバル車となるのではないかと思われるが、エレトレはもちろんBEVとして生を受けた新型車。ボディサイズはウルスSEのそれにほぼ等しいが、試乗車のエレトレRは、ウルスSEに対して100ps以上のアドバンテージを持ち、注目の0→100km/h加速は2.95秒を達成している。

ロータス自身が『スーパーSUV』と称するニューモデル、『エレトレ』。
ロータス自身が『スーパーSUV』と称するニューモデル、『エレトレ』。    内藤敬仁

ちなみにパワーユニットは、前後アクスルにそれぞれエレクトリックモーターを組み合わせる2モーター式で、トータルの最高出力は918ps。それがアクセルペダルを踏み込んだ瞬間に出力されるのだから、その加速感たるやこれまでのロータス車のそれとは明らかに異なる、まさに異次元の感覚といってよいだろう。

ドライブモードはおそらくは最も使用頻度の高い『ツアー』に加えて、『レンジ』、『スポーツ』、『オフロード』、『インディビジュアル』、『トラック』の6種類。サーキットからオフロードまで、まさにシチュエーションを選ばずに走りが楽しめるのは嬉しいところである。

室内にかつてのロータス車の面影はない

ドライビングシートに身を沈めると、その前方にあるのはコンパクトな薄型のメーターパネル。ここに表示されるインフォメーションは必要最小限のものとなるが、ドライバーはさらに他車の情報なども表示されるヘッドアップディスプレイで、刻々と変化するより詳しい周囲の状況を知ることもできる。

ドライバーズシートとパッセンジャーシートの間には、15.1インチサイズのタッチ式ディスプレイが装備され、車両に関するほとんどの情報や設定、あるいはエンターテインメントの選択などは、それを通じて音声コマンドによっても行える仕組みになっている。機能性を重視するために、装備らしい装備を持たなかったかつてのロータス車の面影は、もはや新時代のモデルにはない。

装備らしい装備を持たなかったかつてのロータス車の面影は、もはや新時代のモデルにはない。
装備らしい装備を持たなかったかつてのロータス車の面影は、もはや新時代のモデルにはない。    内藤敬仁

これは時代の変化でもなく、ロータスの大衆化でもなく、純粋なる正常進化の結果。エレトレをドライブしていく中で、このような印象は徐々に強いものになった。試乗を始めた瞬間から、このエレトレの走りに大きな期待を持てたのは、装備されていた23インチ径のピレリ製Pゼロ・タイヤのフィーリングも影響していた。路面からのインフォメーションを正確に伝えてくるタイヤ、そしてシャシー。エレトレの走りに慣れる中で、ワインディングへとノーズを向けるのが楽しみになってきた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影

    内藤敬仁

    Takahito Naito

    1986年よりフリーランスカメラマンとして主に車関係の雑誌、広告の撮影に携わる。趣味は洗車。好きな音楽は1970年代のブリティッシュロック。たまにロードバイクでサイクリンロードを走って風圧と老化に抵抗したりする。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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