フォード・フォーカスST
公開 : 2015.02.26 23:20 更新 : 2017.05.29 18:54
■どんな感じ?
同じSTバッジを持つものの、最新のフィエスタ/フォーカスSTは、いままでのそれと大きく変わっている。むしろ、ドライビングの楽しさを考慮にいれるならばRSバッジを与えてもいいくらいである。
第一に驚かされるのは、ボディがまったく捩れる気配がない点。ターンインは驚くほど鋭く、こちらがわずかにドライビング・スタイルを変えたとしても、即座に気づき従順に反応してくれる。
コーナーに飛び込めば、ごくわずかなロールとともに、スッと車体が向きを変える。わずかにアンダーステアが顔を出し始めるがコントロールは殊のほか容易。極めて敏捷にコーナーからコーナーへ駆け抜けていく。
電制ステアリングは、いま現在市場に出回っているクルマのなかで1、2を争う出来栄え。寸分たがわぬ正確性と、たっぷりとしたフィードバックとともに極めて素早く向きを変えられる。
潜在的には硬質なだけに、乗り心地は引き締まっているものの、不快感はまったくない。英国の悪路×19インチ・アロイ・ホイールという必ずしも有利な条件でないにもかかわらず、この安定感なのだから大したものである。
電子制御デバイスの賢さのおかげで、突如としてグリップを失うこともない。かといって頑なに動作を締め付けることはなく、楽しめる範囲で車輪をスピンさせる懐の深さがあるのも嬉しいかぎりだ。
数値を裏切らない速さもフォーカスSTの強み。幅広い回転域で湧出する力強いトルクのおかげで、常にはちきれんばかりの元気の良さを披露してくれる。ペダルのみで姿勢を変えられる点も大きな魅力である。
カチリと決まるクイック・シフターのおかげでまっすぐ走るだけでもとても楽しい。無駄な演出が抑えられたエグゾースト・ノートとともに、いつだって乗るのが楽しくなるはずだ。
これまでならば数周のハードなサーキット走行でタレはじめていたブレーキも、きちんと強化されたことにより、気負いせずにどんどんアクセル・ペダルを踏み込むことができる。
インテリアの質感は、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのそれにはまだ追いついていないけれど、先代に比べると使い勝手ははるかに良くなっている。見た目も同様に大躍進といえる。オプションのレカロ製シートのホールド力も抜群であった。