【トゥインゴの姉妹車を日産が開発】まずは地盤固め!日産復活に向けてルノーとの関係をさらに修正

公開 : 2025.04.01 17:05

鴻海との関係はどうなる?

そして気になるのは、台湾の電子機器製造大手の鴻海(ホンハイ)精密工業と日産との連携だ。ホンダとの経営統合協議の時点で、日産、ホンダ、ホンハイの関係について様々な報道があったが、ホンダと日産はこれを完全に否定してきた。

だが、ここへ来て、三菱自動車工業(以下、三菱自)がホンハイにEV生産を委託することが決まったという報道がある。実際、ホンハイは4月9日に都内でEV関係の事業説明会を行う。そこで、三菱自、さらには日産やホンダとの事業連携について、何らかの発表があるのかもしれない。

トゥインゴがベースの欧州AセグEVを、日産がデザイン、開発、製造するとしている。
トゥインゴがベースの欧州AセグEVを、日産がデザイン、開発、製造するとしている。    ルノー

メディア関係者だけではなく、三菱自、日産、ホンダ、そして他の日系自動車メーカーや自動車部品メーカーの関係者は、ホンハイの自動車産業戦略の行方に戦々恐々だ。

このほか、ルノーと日産との新たな戦略プロジェクトで、日産はルノーが設立したEV開発企業『アンペア』に出資しないことを決めている。これにより、日産の投資負担が軽減されると同時に、ホンハイを含めたEVに関する新たなるパートナーとの連携の可能性が広がったと言える。

ただし、アンペアが開発する『ルノー・トゥインゴ』をベースとした、欧州小型(Aセグメント)EVを、日産がデザイン、開発、製造を行うとしている。日産としては地域特性にあったEVを、低コストかつタイムリーに市場導入することになる。

また、インド事業においても変化がある。ルノー日産オートモーティブインディア(RNAIPL)について、日産の保有株51%をルノーが取得し、RNAIPLはルノー100%出資となる。

インド市場は今後、中国市場に迫る勢いで成長することが見込まれており、その中では当然、EVシフトが視野に入っている。ここでも、日産にとってはホンハイを含め様々なパートナーとの連携がしやすくなったと言える。

このように、ルノーと日産による新たなる戦略プロジェクトは、日産が今後、本格的な事業再生に進むための『地盤固め』であることが分かる。

エスピノーサCEO率いる日産新経営陣営としては、内田体制で社内外に向けた確約した事業再生計画『ターンアラウンド』を確実に実現することが先決。その上で、日産ブランドの抜本的な変革に着手することになると、筆者は見ている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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