ザガートとトゥーリングが「コーチビルド」事業に期待する理由 電動化は心配せず

公開 : 2025.04.02 06:45

テーラーメイド:ピニンファリーナ

アウトモビリ・ピニンファリーナは、コーチビルディングの文化を継承する企業(オリジナルのデザイン会社、ピニンファリーナの兄弟会社)であるが、そのクルマは今でも同じように厳格な購入者の目にさらされている。

モントレーで発表された『バッティスタ・タルガメリカ(Battista Targamerica)』は、CEOのパオロ・デラッカ氏によって「最も重要な顧客の1人」に引き渡されたクルマである。

標準のバッティスタをオープンルーフ化させた『バッティスタ・タルガメリカ』
標準のバッティスタをオープンルーフ化させた『バッティスタ・タルガメリカ』

「このクルマは、当社の顧客の多くが望んでいるものではありませんが、一部の顧客は望んでいるものです」とデラッカ氏は言う。「彼らは、通常のカラーや素材、仕上げ(CMF)のオーダーメイド以上のものを開発できないかと尋ねてきます。彼らは、さらに一歩先を行きたいのです」

「例えば、初めてのオープンルーフ仕様のバッティスタを作ることです。バッティスタは、クルマの価値が技術レベルよりも独自性のレベルに強く依存する分野で展開されています」

これは、1930年にまで遡るピニンファリーナのコーチビルディングの原点に回帰するチャンスとなるのだろうか?

「当社の主要モデルのいずれかをベースにしたワンオフ車や少量生産車の製作は、いつでも喜んでお引き受けします」とデラッカ氏は答える。

「ピニンファリーナは過去にこれを非常に幅広く行ってきました。もちろん、それだけに特化しないよう、適切な割合で、適切な規模で行う必要があります。まずは強固なプラットフォームが必要です。それができれば、さらに優れたデザインを創り出すという点で自由度が高まります」

しかし、デラッカ氏によれば、ワンオフ車のような単発プロジェクトは、必ずしも一般的な自動車メーカーのコーチビルド部門ほど大きな利益を生むわけではないという。

「顧客にとってはコストが高くなるかもしれませんが、このようなユニークなクルマには、追加のデザイン作業、エンジニアリング、工具が必要なのです」

「タルガメリカの場合でも、常に認証プロセスが必要です。単なる展示用(米国の25年ルールを回避する方法)のクルマではありません」

デラッカ氏は、フェラーリマセラティでキャリアを積み、2023年にアウトモビリ・ピニンファリーナに入社した。

「それらのブランドにおける当社のカスタム製品は、いわゆる “トップハット” (ボディとインテリア)の改造ではなく、主にCMFに関するものでした。トップハットはピニンファリーナの伝統です」

「このようなコーチビルディングはパワートレインの技術によって制限されるものではありません。内燃機関、ハイブリッド、EVのいずれでも可能であり、顧客が望むオーダーメイドのレベル、および予算のレベルに応じて、ゼロから100まで変えることができます」

「忍耐と創造性を駆使すれば、あらゆるレベルでエキサイティングなものを提供し、購入者を魅了することができます。それは純粋にデザイン上の作業であり、性能には一切手を加えません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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