英国の自動車物品税(VED)解説 2025年4月~ EVや高級車販売に影響の可能性も

公開 : 2025.04.06 18:45

英国の自動車税として知られる自動車物品税(VED)について解説します。今年4月より税制が一部変更され、これまで免除されていたEVも課税対象となりました。

今年から一部変更! 英国の自動車税

この記事では、英国の自動車税または道路税として知られる「自動車物品税(VED)」について解説する。

英国でクルマを運転したり駐車したりするにあたり、最も注意すべき税金の1つがVEDである。VEDは、公道でクルマを運転するすべての人が支払う年税だ。そのため、クルマを所有している場合は支払う必要がある可能性が高い。

英国の公道を走るクルマに課せられるVEDの概要について紹介する。
英国の公道を走るクルマに課せられるVEDの概要について紹介する。

VEDは2001年の導入以来、原則的にはほとんど変わっていないが、2025年には電気自動車(EV)、クルマの売買、税率に関するいくつかのアップデートが行われた。

VEDとは一体どのようなものか、対象となる車両は何か、どのように納付するのか、以下をお読みいただきたい。

VEDとは何なのか

VEDは、公道で運転または駐車される乗用車、オートバイ、小型貨物車、大型貨物車のドライバーが毎年納める税金である。

英国政府が掲げる大気中の汚染物質削減策の一環として、2001年に現在の形式で導入され、英国全土(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)を対象としている。

「道路税(road tax)」と呼ばれることが多いが、VEDは直接的に道路工事の資金として使用されるわけではない。本来の道路税は1930年代に廃止されている。

英国下院図書館によると、2022/23年度のVEDによる税収は74億ポンド(約1兆4000億円)であった。2027/28年度には94億ポンド(約1兆8000億円)に増加すると予測されている。

2020年、EV普及を促進するためにさらなる変更が加えられた。乗用車、商用車、オートバイの小売物価指数(RPI)に合わせて引き上げられ、排出ガス試験体制も従来のNEDCから現在のWLTPに切り替えられた。

2025年4月以降の変更点

2025年4月より、VEDにいくつかの大幅な変更が加えられた。最も大きく調整されたのはEVだ。

EVはこれまでVEDが免除されていたが、この免除が廃止となった。新車のEVは、初年度は10ポンド(約1900円)、2回目の納税以降は195ポンド(約38万円)の標準税率の支払いが義務付けられる。

高額車追加税(ECS)を回避するため、一部メーカーは価格設定を見直している。
高額車追加税(ECS)を回避するため、一部メーカーは価格設定を見直している。

2017年4月1日から2025年3月31日までの間に登録されたゼロ・エミッション車または低排出ガス車も、他のすべてのクルマに合わせて、標準税率の195ポンドが適用される。

2025年4月1日以降に登録された新車EVで、定価が4万ポンド(約770万円)を超えるクルマも、標準のVED税率195ポンドに加えて、高額車追加税(ECS)を支払わなければならない。これは所有開始から5年間、毎年適用される。

ハイブリッド車に関してもいくつかの変更がある。CO2排出量1~50g/kmのクルマ(主にPHEV)の初年度の税率は、10ポンドから110ポンド(約2万1000円)に引き上げられた。CO2排出量が51~75g/kmのクルマの税率は、30ポンド(約5800円)から135ポンド(約2万6000円)に引き上げられた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

コメント

関連テーマ

おすすめ記事

 
×