ミニ・ペースマン・クーパーS
公開 : 2012.08.01 16:15 更新 : 2017.05.29 19:15
■どんなクルマ?
人気のあるミニ、カントリーマンのクーペ・バージョンがこのペースマンで、来年の3月に発売が行われる予定のモデルである。そのドアも左右それぞれ1枚となるなど、サイドパネルはカントリーマンからほとんどを変えることになったが、それよりもそのキャラクターが実用的なカントリーマンからは大きく異なっている。
このクルマをひとことで言うならば、スポーティな大きなミニだ。
そのスタイリングは、リア・クウォーターがマッシブに変更され、リアのラップランド・ランプはシャープさが増している。更に、ルーフ・ラインは後ろになるにつれ大きく下げられている。カントリーマンの荒っぽいフロント・エンドはそのままだが、そのフォルムはちょっとばかりしなびたランドローバー・エヴォークのようだ。
しかし、その外観からは想像できないほど、キャビンは4人のための有効なスペースが確保されている。ちなみに、リア・シートは独立したバケット・タイプである。
ペースマンは、カントリーマンと同じシャシーを使用するため、そのホイールベースは5ドアのカントリーマンと同じだ。ルーフラインは4cmカントリーマンよりも低いが、シャシーが1cm低くなっており、失ったヘッドクリアラインスは僅かに1cmだけである。XLサイズの3ドア・ミニとも言えるペースマンは、カントリーマンよりもスポーティな乗り味と共に、通常のハッチバックよりも大きな荷室スペースを持つことが特徴だ。ちなみに、ボディウエイトはカントリーマンよりも20kg軽い。
その低くなった重心は別としても、スプリングとショック・アブソーバーはより活気のある走りを提供するために見直されている。
その他は、カントリーマンのドライバーには馴染みのある風景だが、電動ウインドーとセントラル・ロッキングのスイッチがドアに移動されている(カントリーマンも同じ変更を受ける予定だ)。
この颯爽とした大きいミニに、BMWはカントリーマンよりも1,200ポンド(15万円)高い価格を予定しているという。
■どんな感じ?
このカモフラージュされたプロトタイプの182bhpバージョンのペースマン・クーパーSに試乗する機会に恵まれた。ペースマンは、このクーパーSの他に、クーパー、クーパーD、クーパーSDモデルを選択することも可能だ。しかし、Oneおよびファーストにはペースマンは用意されない。また、4WDはオプションとして用意され、6速オートマティックはCVTに代えられる。
ドライブ・トレーンに関しては、それほど大きく変わりないので、少なからずこの開発モデルが完成に近づいていることがわかる。しかし、ペースマンとカントリーマンのドライビング・テイストは異なる。ことカントリーマン・クーパーSとの比較で見つけられた差違は、多くの熱心なドライバーを喜ばすものだ。
とりわけ固められたスプリングは、機敏な感じをもたらしてくれる。また、ミドル・コーナーでのバンプに接した際の挙動も洗練されている。更に、英国では山のようにある反り返った道で見せるカントリーマンのかすかにわがままな挙動も、このペースマンでは見事に抑えられていた。ステアリングも突然抵抗がなくなるようなこともなくなったが、残念ながら最高というレベルまでには達していない。
そのエンジン・パワーは1500rpm以下になるとターボ・ラグを僅かに感じるものの、総じてトルクフルなフィーリングで、素晴らしい加速を見せてくれた。
その他の部分は、カントリーマンと大きく変わりない。トランクスペースもゴルフと対抗できうるだけのスペースを持っている。残念ながらカントリーマンの欠点とされていた一風変わったダッシュボード・デザインはそのままだった。
■「買い」か?
その大きくなったサイズが、オリジナルのミニよりも実用的なことは疑う余地もない。また、そのスタイルが好みであれば、その魅力は余計に惹きつけることとなろう。もし、あなたのプライオリティがドライブにあるというのであれば、クーパーSを選ぶべきだろう。
問題は、オリジナルのミニに比べて大きくなったボディ・サイズが、全てにおいて良いというわけではないということだ。
(リチャード・ブレムナー)
ミニ・ペースマン・クーパーS
価格 | 21,960ポンド(269万円) |
最高速度 | 217km/h |
0-100km/h加速 | 7.5秒 |
燃費 | 20.0km/l |
CO2排出量 | 140g/km |
乾燥重量 | 1290kg |
エンジン | 直4 1598ccターボ |
最高出力 | 182bhp/5500rpm |
最大トルク | 24.5kg-m/1600rpm-5000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |