ヒョンデ新型『ネッソ』発表 水素で最大700km、第2世代FCEV 個性的なデザイン獲得

公開 : 2025.04.04 07:45

ヒョンデの水素燃料電池車(FCEV)である『ネッソ』がフルモデルチェンジし、無骨な外観と新開発のパワートレインを獲得しました。1回の水素充填で700kmを走行可能で、モーター出力も204psへと向上しています。

室内空間もより広く

ヒョンデは、第2世代となる水素燃料電池車(FCEV)の『ネッソ』を韓国で発表した。

昨年公開されたコンセプトカー『イニシウム』をベースに、新しいデザイン言語「アート・オブ・スティール(Art of Steel)」を採用している。

新型ヒョンデ・ネッソ
新型ヒョンデ・ネッソ    AUTOCAR

新型ネッソは、水素自動車専用デザインとして、グリッド形状の「H-two(H2)」ライト、そしてフロントおよびリアバンパーのH字型モチーフを特徴としている。後者はフラットシルバーで仕上げられ、フラットブラックのボディクラッディングと対照的で際立っている。

現行型とはまったく異なる外観に仕上がり、全長、全高、全幅が拡大した。BMW iX3やテスラモデルYなどのバッテリー駆動EVの代替となるクルマとして位置づけられる。

ヒョンデは、大型化とスリムなシートデザインの採用により、頭上から足元までゆとりある後席スペースを確保していると述べた。

また、アイオニック5と同じダッシュボードデザイン「コネクテッド・コックピット」が導入され、12.3インチのディスプレイが2つ搭載される。1つはインストゥルメント・ディスプレイ、もう1つはインフォテインメント用のタッチスクリーンだ。さらに、サイドミラーはカメラ式となり、ダッシュボード両脇のスクリーンに映像が表示される。

新型ネッソでは、パワートレインを完全に刷新した。燃料電池スタックの電気出力は16%増の110kWとなったほか、耐久性も向上し、より幅広い温度範囲で動作するという。一方、バッテリーの最大出力は2倍の80kWになった。

こうした開発により、最高出力204psの電気モーターを搭載することが可能となり、従来の163psから大幅にパワーアップした。0-100klm/h加速の所要時間は9.2秒から7.8秒に短縮している。

さらに、水素タンクの容量も6.33kgから6.69kgに増え、パワートレインの高効率化と合わせ、1回の充填あたりの航続距離は最大700kmに伸びた。

外部機器に接続し、水素発電機として使用することもできる。

ヒョンデは、新型ネッソを「今年中に世界市場に投入する」と発表した。

ただし、FCEVの販売状況は決して芳しいものではない。AUTOCAR英国編集部の調べでは、2019年から2022年の英国でのネッソの販売台数は50台未満にとどまり、この間に国内の水素補給インフラも大幅に減少している。水素コンソーシアムのUK H2モビリティによると、現在、英国全土の乗用車用の水素充填ステーションは4か所だ。

しかし、ヒョンデ・モーター・グループ副会長のチャン・ジェフン氏は昨年、水素自動車は「鶏が先か卵が先か」の問題であり、同社が先陣を切って取り組むつもりだと語っていた。

このことから、販売台数とインフラの課題に関わらず、新型ネッソは広く展開される可能性がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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