プラットフォーム共有の光と影 DS 3へ試乗 低速域や巡航時は滑らか 印象を霞ませるATとサス

公開 : 2025.04.15 19:05

高級ブランドとして独立して10年 2代目DS 3がアップデート 座り心地の良いシート 車内空間はクラス平均 チャットGPT利用の音声操作システム 低速域や巡航では上質 英編集部が評価

DSが高級ブランドとして独立して10年

シトロエンから、高級ブランドとしてDSが独立して10年。プレゼンス向上の努力は、途切れることなく続いている。しかし、初代DS 3がシトロエンで売られていたのは、さほど昔のことではない。今でも、その延長だと受け止める英国人は少なくない。

2代目に当たる現行のDS 3は、2018年に登場。コンパクト・ハッチバックだった初代から、見た目は一新した。全長4118mm、全幅1800mmのクロスオーバーへ生まれ変わり、アウディQ2ミニ・エースマン、レクサスLBXなどをライバルに据えている。

DS 3 ピュアテック130 リヴォリ(英国仕様)
DS 3 ピュアテック130 リヴォリ(英国仕様)

DSは、この変更でシトロエンとの距離を更に取れると期待する。2023年のフェイスリフトでは、従来まで背負っていたクロスバックという肩書も省かれている。

そのアップデートでは、フロントグリルやフロントバンパーのデザインをリフレッシュ。路上での存在感を強めるべく、バンパーの両端は2本のデイライトで強調された。テールゲートには、DSオートモビルとレタリングが入る。

パワートレインには電気モーターも用意されるが、現在選べるエンジンは、1.2L 3気筒ガソリンターボのみ。101psか130psの2種類の最高出力が設定され、燃費はそれぞれ16.1km/Lと15.2km/Lがうたわれる。

プラットフォームは、ステランティス・グループのコモン・モジュールで、2代目の3が初採用だった。サスペンションは、フロントがストラット式でリアがトーションビーム式。もちろん、エンジン横置きの前輪駆動だ。

座り心地が良いシート 車内空間はクラス平均

プレミアム路線を突き進むDSとして、重要なエリアとなるのがインテリア。2023年のアップデートでも、大きな力が割かれている。

ステアリングホイールのデザインは洗練度を増し、スポーク部分には実際に押せるハードスイッチが並ぶ。ダッシュボード上部には、10.3インチのタッチモニターが立ち上がっている。

DS 3 ピュアテック130 リヴォリ(英国仕様)
DS 3 ピュアテック130 リヴォリ(英国仕様)

前席のシートは、極めて座り心地が良い。試乗車はミドルグレードのリヴォリで、高級ファッションブランドのバッグのような、風合いの良いレザーで仕立てられていた。トップグレードならナッパレザーが与えられ、さらに上質になる。

どちらのレザーでも、長距離の疲れは最小限。サイドサポートはコシがあり、しっかり背中や太ももを保持してくれる。メーター用モニターは小ぶりで、表示がやや見にくいが、ヘッドアップ・ディスプレイが備わる。

後席の広さは、全長4.1mのクロスオーバーとして平均値。中学生くらいまでの子どもや小柄な大人なら、3人が座れる空間がある。高身長の大人には、頭上や膝前が少し窮屈かもしれない。

内装の素材は概ね豪華。特にダッシュボードやドアパネルの上部は、贅沢な雰囲気がある。膝より下の目が届きにくい部分には、傷のつきやすそうな樹脂部品が目立つ。風化した風合いのアートレザー仕上げは、知らないと、疑問を感じるかも。

センターコンソールは、ダイヤモンドがモチーフのパターンで統一。エアコンの送風口やサイドウインドウのスイッチなどにも、同じ形状が展開される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×