【花見から着想】ロールス・ロイス・ファントム『チェリー・ブロッサム』 桜の花びらを3D刺繍で表現

公開 : 2025.04.05 08:00

日本の顧客からのオーダーでビスポークされた1台のロールス・ロイス・ファントム。『チェリー・ブロッサム』と名付けられたそのファントムのテーマは『花見』。リアの天井には25万針もの刺繍で仕上げられた桜の木が無数の花びらを舞い散らせています。

『花見』の思い出を受け継いでいく1台

ロールス・ロイスは4月2日、ビスポーク製作された車両『ファントム・チェリー・ブロッサム』を発表した。

この特別なロールス・ロイス・ファントム・エクステンデッドのインスピレーションの源は日本の春の風物詩『花見』である。

ロールス・ロイス・ファントム『チェリー・ブロッサム』
ロールス・ロイス・ファントム『チェリー・ブロッサム』    ロールス・ロイス

ある日本の顧客の子ども時代と子育て時代の『花見』の思い出をカタチとして表現し、日本の花見の文化のように、この特別なビスポークのファントムを家族の中で世代を超えて受け継がれる存在として残していきたいという思いが込められた1台である。

25万針の刺繍で咲き乱れる桜を表現

ファントム・チェリー・ブロッサムのデザイン構想には約3年の時間が費やされており、ロールス・ロイスの職人たちが日本の顧客と対面し、そのビジョンを深く理解するところから全ては始まった。

車内には顧客が思い描いたとおりに、咲き誇る桜の木の下に座っているような感覚を繊細な刺繍で表現した。

ロールス・ロイス・ファントム『チェリー・ブロッサム』
ロールス・ロイス・ファントム『チェリー・ブロッサム』    ロールス・ロイス

ビスポークのスターライト・ヘッドライナーには繊細な色合いで満開の桜の花をちりばめた枝が刺繍されている。

舞い散る桜の花びらは後部のドアパネルの他、前後席を隔てるプライバシー・スイートのパーティションにもあしらわれている。

日本の伝統的な刺繍技術を土台に、現代クラフツマンシップの極みともいえる驚くべきデザインは、実に6か月以上の時間を費やして開発されたものである。ヘッドライナーの刺繍だけでも3週間を要し、刺繍のステッチの総数は25万針を超えている。

桜の枝の複雑に絡み合い、互いに折り重なり合って伸びているような立体的な視覚効果は、1人の職人が刺繍された11のパネルを1点づつ緻密につなぎ合わせ、クルマの後部から後部座席の上へと流れるひと続きのデザインとなるように仕上げた。

ヘッドライナーに刺繍された桜な花びらはサテンステッチで表現され、光の当たる角度によりまるで宝石のようなきらめきを放つ。これらの花びらは後部座席全体に舞い散るように配され、プライバシー・スイートのドアやパーティション・ウォールにも優美に広がっている。

ロールス・ロイス初の彫刻的な3D刺繍

ファントム・チェリー・ブロッサムには、ロールス・ロイスで初めてインテリアの仕上げに3Dの桜の花びらの刺繍が施されている。触感のある立体的なディテールはパーティション・ウォールを飾り、ドアに伝統的な刺繍で描かれた舞い落ちる桜の花びらと印象的なコントラストを生み出している。

糸を幾重にも重ねて自立する構造を形成するというこれらの3D刺繍には、専門家が新しい技法をを開発する必要があった。それぞれの花びらは手作業で成形され、立体的に整えられてから、車内の照明に合わせて柔らかな陰影を生み出すように個別で配置された。

ロールス・ロイス・ファントム『チェリー・ブロッサム』
ロールス・ロイス・ファントム『チェリー・ブロッサム』    ロールス・ロイス

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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