しかし、アクセシビリティが向上した代わりに、フェラーリらしいキャラクターが薄まったと嘆く向きもある様子。

そこで我々は、カリフォルニアTの真価をたしかめるために、ポルシェ911ターボSカブリオレとアストン・マーティンV12ヴァンテージSロードスターとともにブレコン・ビーコンズの峠道に連れ出すことにした。

911ターボSの車両価格は£149,668(2,753万円)。はちきれんばかりに膨れあがったフェンダーや楕円形にくり貫かれたエア・ベントが目を引く。駆動方式は4WD。フラット6は560psもの大出力をたたき出す。

トランスミッションは、虫も殺さぬ顔……とでも言うべきか、何事もなかったかのように、サクサクとギアを変えていく。よくよく耳を澄まさない限り、体感的に変速したことを知るのはもはや難を極める。

対するV12ヴァンテージSのトランスミッションは、911ターボSにそれに比べると未完成の感は否めないが、これまでのセミATに比べると大きな飛躍を遂げている。

12気筒ユニットの味わいは言うまでのなく絢爛なもの。立派な管楽器を彷彿とさせるエグゾースト・ノートは、あたりの空気を優美に震わせながら、高らかに盛り上がっていく。最高出力は573ps。CO2排出量は343g/kmとなる。