胸のすくような排気音とは裏腹に、時に落ち着きを失う乗り心地に関してはやや難あり。また身のこなしには、どうしてもデビューからそれなりの月日が流れたことをうかがわせる。

インテリアのどこからともなく生じる軋み音はなんとか許せるとして(あまり語られることはないが、ハンドメイドの弊害だ)、直感性に大いに欠けるスイッチを始め、扱いにくいLCDスクリーンは£147,000(2,704万円)という価格にそぐわない。

これに比べてカリフォルニアは極めて現代的に感じる。これまで驚くほど使いづらかったインフォテイメント・システムがアップル製のカープレイ・システムに置き換わったことも大きいようだ。

モーターウェイに合流する。ハードトップと座り心地の良いシートのおかげで、言葉どおり快適に歩を進めることができる。決して柔らかい類の乗り味ではないが、居心地の悪さは一切ない。

隣から勢いよくヴァンテージと911が追い越していく。美しいラインを身にまとったヴァンテージと、うっとりとするほど抑揚のある911のボディも、これはこれで堂々としていて魅力的である。

カリフォルニアTのステアリングは、あるいは助手席の美女のすべすべとした手よりも握り心地がいいかもしれない。それに8000rpmからがレッド・ゾーンとなるレブ・カウンターも気分を高めてくれる。