£154,490(2,842万円)という決して安価ではない車両価格であるにもかかわらず ーそれがターボの対価であるにしても、そうでないにしてもー 心から満足することができる。いつものグランド・ツアラーである。

ここから更に強くアクセルを踏み込む。ギュッと押し付けられていたバネが一気に弾けるかのように、勢いのある加速がはじまる。瞬発力は先代のそれを大きく凌いでいる。

新機構のバリアブル・ブースト・マネージメント・システムのおかげで、ターボだからといって回転が早期に頭打ちすることもない。また非常に賢いF1デュアル・クラッチ・トランスミッションのおかげで高速巡航でも悠々とクルーズすることが可能だ。

磁気粘性ダンパーによる乗り心地は、さらにヴァンテージを窮地に追い込む。ヴァンテージの場合、ルーフを開け放った途端にボディが緩くなったような印象をもたらすのだが、カリフォルニアTの場合はたとえコンフォート・モードでもアンジュレーションに左右されることのない頼りがいのある堅牢性を確保している。

対するポルシェは、芯はあるがねっとりとした粘り気がある乗り心地。これに合わせてステアリングにも重みをもたせている。カリフォルニアのように片手で操作できるステアリングか、あるいは911のように運転しているという実感を与えてくれるステアリングか。どちらも正確性は飛び抜けているだけにあとは好みで決めてよさそうだ。