【ドイツで感動、では日本の速度域では?】ブッフローエの最終モデル!アルピナB3GT&B4GT

公開 : 2025.04.10 11:45

昨年6月にドイツ本国のサーキットで行われた試乗会に参加済みの吉田拓生が、BMWアルピナB3GT、B4GTを日本の公道で試すべく、ワインディングに繰り出しました。日本の速度域で感じたこととは何でしょうか?

公道生まれを公道で試したい

昨年6月、ドイツで試乗したBMWアルピナのB3GTとB4GT。ブッフローエの最終モデルともいえる2台が先ごろ日本上陸を果たし、試乗することができた。

すでにドイツで試乗済みなので、あらためて乗る必要はない……、かといえばそんなこともない。ドイツでは条件がずいぶんと特殊だったのである。

日本にも上陸を果たした、ブッフローエの最終モデル『BMWアルピナB3GT』(左)とB4GT(右)。
日本にも上陸を果たした、ブッフローエの最終モデル『BMWアルピナB3GT』(左)とB4GT(右)。    佐藤亮太

例えば、試乗はザクセンリンクというサーキットだったし、ペースカーが先導するスタイルといってもスピードを抑えるのではなくむしろ引っ張るという容赦ないスタイル。しかも筆者の試乗の直前、左側のタイヤが減り過ぎていたため、なんと左の前後輪だけ新品に(!)してくれたのである。

それでもB3とB4のマイナーチェンジ版というべき 『GT』のパフォーマンスが新たな次元に突入していることはよくわかった。スロットルのひと踏みでメーターの針が勢いよく200km/hを飛び越し、その最中でもドライバーが落ち着いてエアコンの調整できるほどのスタビリティを持ち合わせている。

しかもエンジニアは「ニュルブルクリンクは確認で走るだけ。開発は公道中心」なんてサラリと言ってくる。だから試乗のあとホテルまでアルピナのスタッフがD5ツーリングで送ってくれたのだが、その時のアウトバーン超高速体験の方が感動が大きかったのだ。やはりアルピナは『快適な長距離移動を楽しむクルマ』として作り込まれている。日本でもう一回乗らなくては! と感じたのである。

極上乗り心地モードに現れたGTの真価

今回の試乗の目的地はいつものワインディング。借り出したニコル・オートモビルズ本社からの往復も含めて、B3GTとB4GTを試乗する。ホイールやストライプ等にピンクゴールド風のオロテクニコと呼ばれるカラーが用いられた2台をあらためて観察すると、いくつか新たな発見があった。

まず、GTの専用装備であるフロント左右のカナードの形状がそれぞれ異なること。B4GT用は端が翼端坂のように立ち上がっているのだ。

同じように見えて、実はカナードの形状が両車で異なる。
同じように見えて、実はカナードの形状が両車で異なる。    佐藤亮太

リア下回りを覗くと、B4GTにはリアドア下からデフの頂点を結ぶような複雑なブレースが入っていた。これはベースのBMW M440iと同じものだが、アンドレアス・ボーフェンジーペンが言っていた「BEV用がベースなのでB4の方がフロアが強い」という証言を補完するものといえる。

往路ではB4GTをドライブしたのだが、走りはじめてすぐ進化の一端が伝わってきた。走り出しや首都高速の合流の姿勢変化が穏やかで、路面の継ぎ目におけるアシ捌きの良さもこれまでのモデルを凌いでいる。GT化で若干変更されたボディ剛性にダンパーのチューニングが完璧に合わせ込まれているのだ。

B4の時代からドライブモードの項目自体は変わっていないが、高速道路中心の今回の移動で感心させられたのは『コンフォートプラス』だった。これはアルピナが独自に設定しているモードで、コンフォートより当たりの柔らかさが明確に増している。GT化のためにダンパーチューニングを徹底的に再構築した結果として、極上乗り心地モードが際立って感じられるようになったのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員

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