【未来へと続くマツダ・デザインの変遷】ブースの目玉はS8P!若き日のジウジアーロがデザインした名作を公開

公開 : 2025.04.12 17:25  更新 : 2025.04.12 17:34

4月11~13日に幕張メッセで開催されている『オートモビルカウンシル2025』には4社の日本車メーカーが出展しています。ここでは篠原政明が、若き日のジウジアーロがデザインしたS8Pなど、マツダの展示内容をご紹介します。

過去から現在、そして未来へ

オートモビルカウンシル2025におけるマツダの出展テーマは、『マツダ・デザイン・ストーリー“心を揺さぶる、モノづくりへの追求”』だ。

今回のオートモビルカウンシルは10周年記念イベントとして、スペシャルゲストにジョルジェット・ジウジアーロ氏を招き、トークショーや氏のデザインしたモデルを特別展示するなど、ジウジアーロ氏を中心としたイベントとなった。

S8Pを前にジョルジェット・ジウジアーロ氏とマツダ・デザインを率いる前田育男氏。
S8Pを前にジョルジェット・ジウジアーロ氏とマツダ・デザインを率いる前田育男氏。    中島仁菜

そこでマツダでも、1962年にベルトーネ社にデザイン監修を委託し、若き日のジウジアーロ氏が手がけたプロトタイプ『S8P』を目玉として展示。

そのエレガンスなデザインに呼応させるように、現在のマツダの『魂動デザイン』を象徴する『ビジョンクーペ』をはじめ、『塊コンセプト』や『先駆』といったデザインコンセプトモデル、そして1990年代のデザインテーマを体現した『ユーノス500』も展示することで、ヘリテージとフューチャー、つまりは過去から現在、そして未来へと続くマツダのデザインストーリーの一端を眺めることができるようになっている。

マツダS8P

若き日のジウジアーロ氏がベルトーネ社に在席していたときに手がけた、初代ルーチェのプロトタイプ。このデザインをベースに、マツダのフラッグシップ 4ドアセダンとして初代ルーチェが1966年に発表された。

遠目には初代ルーチェそっくりのプロポーションだが、見比べるとかなり異なる。特に顕著なのは低いボンネットで、その下にはロータリーエンジンが収まり、前輪を駆動することになっていた。

マツダS8P
マツダS8P    中島仁菜

実際にはモックアップなので、木製のエンジンが載っているらしい。そのコンセプトは、ルーチェ・ロータリークーペに継承された。

ユーノス500

1990年代前半、マツダはユーノス店やオートザム店など販売店を多チャンネル化し、また4ドアセダンのクロノスの姉妹車を多く登場させ、拡販を図った。

ユーノス500はユーノス店で販売されたDセグメントの4ドアセダンで、クロノスの姉妹車ながら5ナンバーサイズに収められていた。

ユーノス500
ユーノス500    中島仁菜

当時のマツダのデザインテーマだった『ひびきのデザイン』を体現したモデルで、マツダより上級なイメージとしたユーノスが目指した上質さを5ナンバーサイズに収める、コンパクトに凝縮されたプロポーションが美しい。『高機能ハイレフコート』と呼ばれる塗装技術も採用されていた。

マツダ先駆(せんく)

2005年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー。当時は、『大人のための4シーターロータリースポーツ』のひとつの方向性を提示するコンセプトカーと謳われていた。

デザインコンセプトは『シャープネス&メロウネス』とし、鋭利さや優美さというような、相対する要素を融合。次世代の上質感の美学を追究した。

マツダ先駆(せんく)
マツダ先駆(せんく)    中島仁菜

極限まで切り詰めた前後のオーバーハングや超ロングホイールベース、大径タイヤに『フライングウイング』と呼ばれる大きな両側電動スライドドアなどが特徴的であり、インテリアには上質な本革を採用し、大人の感性に響く洗練された味わいを表現していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    中島仁菜

    Nina Nakajima

    幅広いジャンルを手がける広告制作会社のカメラマンとして広告やメディアの世界で経験を積み、その後フリーランスとして独立。被写体やジャンルを限定することなく活動し、特にアパレルや自動車関係に対しては、常に自分らしい目線、テイストを心がけて撮影に臨む。近年は企業ウェブサイトの撮影ディレクションにも携わるなど、新しい世界へも挑戦中。そんな、クリエイティブな活動に奔走しながらにして、毎晩の晩酌と、YouTubeでのラッコ鑑賞は活力を維持するために欠かせない。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×