セアト、新型クロスオーバー 20V20を発表
公開 : 2015.03.03 22:00 更新 : 2017.06.01 02:11
セアトはジュネーブ・モーターショーで4ドアSUVクーペを発表した。
セアト 20V20コンセプトと名付けられたこのモデルは、2016年の発売を予定しており、新型SUVの新たなデザインテーマを打ち立てるものだという。
同社は、20V20のことをSUVと中型ステーション・ワゴンの要素を組み合わせた4ドア・スポーツ・クーペだと表現している。名前は “ヴィジョン・ベインテ・ベインテ(20・20)” または “20:20ビジョン” というイメージを表している。また、このモデルはこれからのセアトのデザイン言語を指し示すものだと言われている。
セアトのユルゲン・スタックマン取締役会会長は「デザインは、セアトを購入するうえで最も大きな要因のひとつなのです。われわれはこの強みをさらに磨き上げ、同時に技術面も強化していきたい。実際に20V20の細部には当社の将来像をイメージするディテールが数多く含まれていますから。」
このモデルのフロントおよびリアのスタイリングには、X字形のイメージが取り込まれている。ボンネットのVシェイプに対して、グリルは逆さのVになっている。一方のリアはプレスラインがテールゲートやバンパーへと繋がっている。
展示車は全長4.66mで、これはレオン・ハッチバックよりも43cmも長いことになる。ホイールベースは2.79m、フロントのトレッドは1.65mだ。ホイールは、20インチ・アロイホイールを装備し、最低地上高は22.8cmになっている。セアトはインテリアの詳細を発表していないが、20V20は600ℓ以上のラゲッジスペースを備えると認めている。
トランクのフロア下には2台のラゲッジカートと、セアトが言うところの “パーソナル・ムーバー”を装備する。これは電動スクーターのようなもので、駐車場にクルマを停めたあと、目的の場所まで移動する際に使えるよう設計されている。
また、セアトはガソリン、ディーゼル、プラグイン・ハイブリッドという異なるエンジンを選択できると話している。
ベースはフォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォームで、製造はチェコのグループ・カンパニーであるスコダで行われる予定だ。ちなみに、スコダ自身も7シーターのSUVを計画中で、セアトのクロスオーバーと同じ2016年のデビューを予定している。
セアトの会長、ユルゲン・スタックマンは、このクロスオーバーが今までのセアトのモデルの派生モデルを感じさせるようなネーミングではなく、独立したネーミングになると明らかにしている。現時点で、セアトはスポーティなモデルがどのぐらい受け入れられるかを調査中とのことで、これが良い結果になればこのクロスオーバーをベースとしたハイ・パフォーマンス・バージョンであるクブラも検討材料になるという。
それでもスタンダード・モデルでさえ、この新しいクロスオーバーは、日常的なユーザビリティと実用性を確保しつつも、スポーティな味付けがされている。
デザイン・チーフのアレハンドロ・メソネロ・ロマノスは、そのデザインについて “セアトにとって大きなステップだった” と語り、”レオンの大きな兄弟” であるとしている。
このクロスオーバー・モデルは、現在マルトレールのデザイン・スタジオでフル・サイズのスタイル・モデルが造られているところだ。AUTOCARは既にそのスタイルを見ているが、その感想はIBXコンセプトにドラマティックなサイド・ブリスターを与えたといったものだ。また、2011年に登場したIBLコンセプトの要素も取り入れている。
スタックマンは、”クラフトマンシップと、非常に頑強なボディを強調したスタイリングだ” とAUTOCARに話した。
このクロスオーバーは、このセグメントの10%のシェアを獲得することが目標で、それはかなりのボリュームになると予想される。また、
2013年に355,000台を販売したセアト全体のセールスを大きく伸ばす重要なポジションとなる。販売は英国を含み、ヨーロッパを中心とした主要なマーケットで販売される。
「セアトにとって、これは良いニュースだ。世界で最も大きく成長の早いマーケットに、セアトが参入することになるのだから。」とスタックマンはコメントし、このクロスオーバーが実際に生産されることを確認した。
「クロスオーバーの生産は、企業にとって重要な柱であり、継続的な収益を上げるためのもその存在は大きい。」とも語った。
セアトはコンパクトSUVを初めて造るわけではない。というのも2011年以降、アウディQ3をマルトレール工場で生産しているという実績がある。ところが、レポートによれば、セアトのクロスオーバーは、自社のマルトレール工場ではなく、スコダで製造されることとなるそうだ。現在、スコダのクバシニー工場では、スパーブとミニMPVであるルームスターを製造している。AUTOCARは、この工場で新しいイエティも生産すると見ている。
銀行のアナリストは、クバシニー工場は人件費が安いのが魅力だという。その人件費はスペインの半分、そしてドイツの1/3だという。また、その情報筋によれば、スコダの7シーターMPVは既にキャンセルされており、そのため生産能力に余裕ができたため、ともコメントしている。