メルセデス・ベンツB220 CDI AMGライン
公開 : 2015.03.05 23:40 更新 : 2017.05.13 12:50
ならばこちらもと、大きめにアクセス・ペダルを踏み込むと、今度は急にトルクが流れ込んでくる仕立てゆえに、慌ててブレーキを踏むことになる。健全ではない。
ただしあくまで、これは市街地の発進と停止を繰り返すシチュエーションでのこと。ひとたびスピードに乗れば、エンジンが発する振動はあまり気にならなくなり、優れたクルーザーとしての素性が顔を見せはじめる。
主な要因は、重心高が下がっている点と、リアの4リンク式サスペンションのセットアップによるところが大きい。前が20mm、後ろが15mm車高が下がったことも、少なからず安定感に影響しているようだ。
よってターンインの素早さにも好感が持てるうえ、コーナリング時のリーンも最小限に抑えられている。
そのトレードオフとして明確に感じざるを得ないのが硬質な乗り心地。時に車体が上下にバウンドするような挙動を見せ、バンプの上ではダンパーがその仕事にややパニックに陥っているかのようだ。
ドスンと響く足元の不快な音は、果たしてメルセデス・ベンツと呼んでいいのかと疑うほどである。
AMGラインは可変レシオ・パワー・ステアリングとスポーツ・ダイレクト・ステア・システムを組み合わせる。確かにこのおかげで車輪からのフィードバックは豊富だ。速度に見合ったアシスト量に助けられることも多い。
総合的な評価としては、動力性能は高くないものの、こと実用性においては、さすがはBクラスだと感心させられる点は数多にある。
例えばフロント・シート足元や頭上のスペース、アップライトなドライビング・ポジションなどがそれ。長い距離を走っても苦痛に感じることはないし、エルゴノミクスにも唸らされるところは多い。
リアも然り。身長の高いパッセンジャーならばフロント・シートに膝が押し付けられることは多いものの、天地方向のスペースは余りあるほどといっても過言ではない。前席から出てくるピクニック・テーブルの存在も嬉しい。
486ℓの荷室容量はゴルフSVのサイズには及ばないが、リア・シートを前にスライドさせると、SVに匹敵する容量に拡大される。ただしこの場合、後席スペースは子どもが乗れる程度に狭まるので要注意だ。
タグをひと引きで後席が折りたためる点もありがたい。ホールドすれば、荷室が完全にフラットになる点も、大きな荷物を積載する際には重宝する仕掛けである。
AMGラインには、センター・コンソール上のダイアルからコントロールできる8インチ・スクリーンが標準装備。操作はしやすいが、BMW製インフォテイメント・スクリーンの使い勝手には一歩及ばずといったところ。
人工レザー・インテリアとブルートゥース接続も標準装備。その他には衝突回避システムやバック・カメラ、新式の居眠り運転防止システムを含む安全装備もはじめから付いてくる。