ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ2.2 SD4ディーゼル

公開 : 2015.03.05 23:30  更新 : 2017.05.29 19:17

市街地におけるステア・フィールもどこか気だるい。重みを与えるのと、抵抗が大きいのは別の話であり、ときに機械側がセルフ・センタリングをサボることもあるため、次第に疲労感が増幅していった。

低速域の乗り心地も完璧ではない。たしかにサスペンションは、小さな振幅と長い周期のうねりを伴う路面ではいい仕事をしてくれるが、小刻みな凹凸を連続的に受けるとキャビンはガタガタと音を立てながら揺れる。

クルマの少ない道路に出てみる。他のクルマと同じように、高速域では安定感が増してくる。ここでは気になっていたエンジン・ノイズも比較的落ち着いたようだ。ステアリング・レスポンスも幾分シャープに感じる。

さらに驚かされるのはボディ・ロールの少なさ。これに加えて、2トン近い車重のSUVからは考えられないほどのグリップも見ものだ。また、スロットルの微細な操作でも挙動を変えられる点には思わずニヤリとしてしまった。

この手のクルマをドライブするにあたって更に嬉しいのは、足元をはじめとする肩周りや頭上のスペースが豊富な点。もちろんパッセンジャーにとってもこれは同様で、荷物がたっぷりと詰めるのも明確な長所だ。

ドライビング・ポジションにも違和感はなく、フロント・シートのサポート性やクッション性も良好である。より横方向のサポートが豊富で、クッションがもう少し柔らかければ、もう言うことはないのだが。

2列目シートの居住性も良好。身長が高い大人でも、2人までならば、たっぷりとした余裕をもって座ることが可能だ。実はこの後ろにも2席分の折りたたみ式シートがあるが、こちらは子ども用と考えた方がいい。

3列目を倒し、2列目を前方にスライドさせた状態の荷室容量は981ℓとのこと。しかしこの値には注意が必要で、ランドローバーは荷室底面から天地方向ぎりぎりまでを測定する。

これに対し、多くのメーカーは底面からトノカバーまでを測定するため、あえてこの計測方式で数値を導くとしたら500ℓといったところである。

2列目のシートは3列目のことも考慮して40/20/40の比率で分割が可能。これにより高い柔軟性が確保される。こちらも倒せば、(ランドローバーのいうところの)1620ℓまで荷室が拡大可能だ。

£37,595(687万円)という車両価格を考えると各種スイッチの質感は動的にも静的にも甘め。アウディQ5BMW X3ボルボXC60のそれを考えると、実用的ではあるがもの足りなくも感じた。

ディスカバリー・スポーツはジャガー・ランドローバーのプロダクトのなかで、初めて新開発のマルチメディア・システムを採用したモデルでもある。しかしこちらもアウディのMMIやBMWのiDriveには及んでいない。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事