フォード・エコスポーツ1.0エコブースト
公開 : 2015.03.09 23:30 更新 : 2017.05.29 18:54
タイヤもさらに優れたものに入れ替えられ、よりレートの高いスプリングが奢られている。またリア・アクスル用のトーションビームやダンパーも、この世代用に設計し直されたものが組み合わされている。
ステアリングのギア比もさらにダイレクトなものとなりESP用のソフトウェアも書き換えられる。トランスミッションのフリクション低減をはじめとする大小さまざまな改良面は約20ヶ所にのぼるのだという。
キャビンの変更点は、カラーSYNCマルチメディア・セットアップや新デザインのダッシュボード/ヘッドライニング/シート、質感のたかいトリム/スイッチ類など、やはりこちらにも数々の手が加わっている。
外観上の変更点は先述のとおりごくわずかなものに留められているが、結果的にはヨーロッパ出身のライバルと比肩するレベルに達している。
特にそう感じさせるのはフォードらしいハンドリングや乗り心地である。
先代のエコスポーツが明確にグリップを失ったり、ノイズを生じるシチュエーションでも、現行エコスポーツには破綻する気配がなく、驚くほど粘り強い。
バンプの上でもコントロールを失うことはなく、反応も極めて素早い。ステアリングも、入力とそれにともなう動作にラグがなく、所作ひとつひとつの活発さにも楽しい気持ちになれる。
厳密に見ていくと、フィエスタほど操舵フィールがなめらかではないし、サスペンションだって時にぎこちない動作をすることもあるが、今や他のライバルと比べても全く気後れすることはない。
テスト車両はプロトタイプという立ち位置であったものの、インテリアの質感もかなりの完成度に達している。ラグジュアリーと言うほどではないが、シート生地や表面のプラスティックにも、安っぽさはまったくない。
キャビンのスペースも十分に確保されており、ノイズの抑制は先代より明らかに良くなっている。窓周辺や大きなリア・ドアなど、形状起因のノイズは相変わらずではあるが、リファインメントは確実に進んでいる。
エンジンの選び方によっては、さらに優れた印象をもたらすはず。ユーロ6対応の1.5ℓターボ・ディーゼルがクラスの標準になるには、まだまだ努力が必要であるが、1.0ℓターボ・ガソリンの低速域のスムーズさと高回転域まで嬉々として回ってくれる性格は、新生エコスポーツのキャラクターにぴったりと合っているように感じられた。