アウディのEV SUVのモデル名はQ6に
公開 : 2015.03.11 22:50 更新 : 2017.06.01 02:10
アウディは年1回行われるプレス・カンファレンスにて、電気のみで動くSUVの開発について示唆した。
モデル名はQ6となることが有力視されており、Q7が用いるMLBプラットフォームを使用する予定とのこと。
使用するバッテリー・パックはデビューしたばかりのR8 e-トロンが用いる90kWhではなく、100kWhのものに置きかわる計画のようだ。
元々は電気SUVはQ8なるモデル名が充てられる予定だったが、最終的にはQ6に落ち着いたという。ただしQ8の開発が無しになったのではなく、後にはQ7よりも大きいモデルサイズでデビューする予定なのだそうだ。
R8 e-トロンの満充電からの航続可能距離は450kmを超える見込みであるが、エアロダイナミクスの点でやや不利になるQ6は300kmと予想される。販売時期は2017年終わりからとなる見込みだ。
「2025年までには、アメリカ8州では総生産台数のうち15%が電気自動車でなければならなくなるでしょう」とAUTOCARに語ってくれたのはアウディのルパート・シュタートラー会長。
「もはや電気自動車の開発は、各自動車メーカーにとって ’必須課題’ になってきたのです」と続けた。
テスラが登場してからは、単に航続可能距離が長ければいいという考え方から、さらなる付加価値を得るにはどうすればいいのだろう? という考えにシフトしてきたのはメーカーもカスタマーも同じである。
よってスタイリングも重要視されている。R&D部門を率いるウルリッヒ・ハッケンバーグ氏いわく ”Q6のスタイリングはアウディ・プロローグ・コンセプトから大きく影響を受けることになる” とのことだ。
またハッケンバーグ氏は ”MLBプラットフォームは、電気自動車のみではなく、プラグイン・ハイブリッドや天然ガス・ユニットにも対応できるのですよ” と、こっそりと教えてくれた。
さらに今年後半にデビューを予定している次期アウディA4にもMLBプラットフォームを使用することを打ち明けた。こちらもまたg-トロンと呼ばれる、天然ガス版が加わる予定なのだそうだ。
Q6の主な対戦相手は、BMW X6やレンジローバー・スポーツ、メルセデス・ベンツMLCとなる予定。また、今年末にデビューする予定のテスラ・モデルXもターゲットに入れているのだそうだ。テスラと同様、電気モーターは前輪と後輪を駆動する。
ハッケンバーグ氏いわく、”Q7よりもエモーショナルかつスポーティになる” とのこと。また、”Q7は7人乗りであるが、Q6はよりクーペに近いスタイリングになる” のだそうだ。
フォルクスワーゲンと関係が深いだけに、デザインにどこかフォルクスワーゲンのテイストが反映されていたのがこれまでのモデルであったが、Q8を含めまったく異なった外観になる予定とのことだ。
Q8に関しても、開発の計画は既に決定済み。むこう3年以内には販売に漕ぎ着ける予定なのだそうだ。
アウディの成長にとってクロスオーバー・レンジの開拓は必要不可欠であるとの見方が定着しており、2020年までにはクロスオーバーだけで、11種のニュー・モデルを開発していく計画なのだそうだ。
そのうちの5種が、既に明かされているQ1、Q2、Q4、Q6、Q8である。
これらが60種にわたる全ラインナップを後押しする予定で、総売上の40%、つまり800,000台の販売を目論んでいるのだそうだ。
「私たちはSUVの潜在的な実用性とポテンシャルの高さに将来的な繁栄の鍵があると考えています。とくにフルサイズ・カテゴリーにはまだまだ未発展の領域が残されています」と語るのはシュタートラー会長。
したがってQ8は、ラインナップ中トップのモデルとして君臨する手はずになっており、中国や中東諸国、アメリカの市場で確固たる人気を手にするという確信をもっているのだそうだ。
パフォーマンスや技術の観点で見るとフラッグシップ・サルーンであるA8と同等であるが、Q8の場合、これにオフロードの走破性や高い実用性も加わる。
全長は5mを超える見込みで、車両価格は3.0ℓ V6ターボを搭載したエントリー・グレードが£50,000(915万円)前後、4.0ℓ V8ツイン・ターボを搭載したフラッグシップ・グレードが£90,000(1,647万円)となる予定。
Q8にも、V6とV8ユニットの他にプラグイン・ハイブリッドや電気版が導入される見込みである。
またデザインを担当したマーク・リヒト氏いわく、Q8は独特なボディ・スタイルを身に纏うことになるのだそうだ。どちらかと言うとQ7は実用性ありきのデザインであったことは読者諸兄もご存知のとおりだが、Q8はよりスポーティな印象をあたえるデザインを採用しているのだという。
具体的には、フロント・エンドがよりレーシーになり、すべてのコーナーがよりエッジを際立たせたデザインになるとのこと。サイド・ウインドウは前後方向に薄くデザインされ、リア・ウインドウもかなり寝そべった形状になる。また5人乗りと7人乗りの両方が用意されることまで決定済みなのだそうだ。
プラットフォームは2世代目のMLB型となり、言いかえれば次世代のQ7や秘密裏で話が進んでいるカイエン・クーペ、3代目カイエン、3代目フォルクスワーゲン・トゥアレグなどを含むアップマーケットSUVと共通だということになる。
またベントレー製SUVや、’あの’ ランボルギーニ・ウルスとも共通のプラットフォームなのである。
Q8がとてつもないハイエンドSUVになることは間違いないのだが、シュタートラー会長いわく ”ベントレー製SUVの価格よりも意図的に安くする” とのことだ。したがってもっとも高価なモデルでも約£100,000(1,830万円)以下になることが有力である。
MLBストラクチャーは、こんにちの他のプラットフォームに比べて柔軟性が高く、ホイールベースやトレッドも簡単に変えられるとのこと。したがってメーカーによって様々な個性が打ち出しやすくなる。
さらに驚くべきことに、薄板の構造用鋼やアルミニウム、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を大幅に用いることにより、従来のQ7より300kgの減量が可能になったという。車両重量が2000kgを下回ることは、もはや夢物語ではないのだそうだ。