ランドローバー 雪上試乗会
公開 : 2015.03.12 23:40 更新 : 2017.05.29 19:17
今回の試乗で最も強い存在感を示したのはレンジローバーだった。それもショウファー・クオリティのリアシートを備えたオートバイオグラフィーのロング・ホイールベース版である。正直、1830万円と言う価格はロールス・ベントレーに次ぐ領域だが、実際のクオリティもそれらに比肩するレベルといえる。特にスタンダードモデルよりも20センチ足元が延長されているリア・シートは、いかにもオーナーのための優雅なスペースという印象を与えてくれる。雪上試乗で最も感心したのは、このギャップの部分である。シャンパン・グラスが似合うような瀟洒なリア・スペースを持ちながら、目の前の急激にそそり立った雪壁をグイグイと上がっていく。デコボコとしたコブ路面ではテレインレスポンス2をオートにしておくだけで自動的にトラクションが最適化され、サスペンションがスゥーっと伸びて路面を捉える様子がステアリング越しに伝わってくる。敏感さという点ではスポーツに譲るが、結果的に2.6tという車重がダルな方向ではなく、重厚感を増す方向に効いているのである。
原初のランドローバーから枝分かれして誕生した初代のレンジローバーは、森の中でハンティングを終えた貴族がホテルのパーティに駆けつけられるようなクルマとして開発されたわけだが、今なおその主旨は少しもブレていない。