アウディR8 e-トロン・プロトタイプ
公開 : 2015.03.12 23:50 更新 : 2017.05.29 18:14
一度は中断されたR8 e-トロン計画であったが、今回の復活を機に、本誌ヨーロッパ統括エディタのグレッグ・ケーブルがプロトタイプのテスト結果をいち早くお届けする。
■どんなクルマ?
最後にわれわれがR8 e-トロンをテストしたのは2013年5月のこと。そこから ”アウディR8 e-tronの販売を断念” というニュースが入ってきてからは一旦はお蔵入りになっていた。
その理由は、もちろんお察しのとおり。コストや技術面による問題が大きかったのだが、ウルリッヒ・ハッケンバーグR&D部門ボスの指揮下で、再びe-トロン計画が息を吹き返したのである。
キーポイントはやはり、新しい電気モーターと大型バッテリーを新たに搭載した点だ。これにより、航続可能距離は以前のプロトタイプから約2倍に伸びたと言うのだから心強い。
今回のテスト車両を含むすべての試作車両の外観はジュネーブ・モーターショーで発表された新型R8とは異なる ’1世代目’ のものをそのまま使用している。後ほど新顔を追加する方針なのだそうだ。
ただし内外装を含む細やかなパーツはe-トロン専用に変更されている。例えばエア・ダクト。こちらは高速時のみに開く仕組みになっており、その他には完全にフラットになった車体底部などが従来と異なる点である。
使用する電気システムは、元々はフォルクスワーゲンXL1用に開発したもので、キャビン後方には7488ものリチウム・イオン・セルがマウントされるとのこと。後輪のみを駆動する点は2013年の時と変わらない。
大まかに見ていくと、オリジナルのレイアウトとほとんど変化が無いように思えるが、それぞれのドライブラインの構成要素は大幅に見なおされている。それらの情報を含め、以下の項で感想を述べたいと思う。
■どんな感じ?
フォルクスワーゲンがドイツのカッセルに構える工場で開発される電気モーターが発揮する最高出力は、初期のプロトタイプより81ps(60kW)のパワー増強を果たした462ps(340kW)。
最大トルクも同様に10.2kg-mアップの93.9kg-mをマークする。もちろん従来の内燃機関と異なり、パワー供給が瞬時に行われるため、そのダッシュ力はとてつもないレベルに達している。
先日テストしたばかりのテスラ・モデルS P85Dの誇る700psと71.3kg-mという数値に比べると、いくぶん物足りなくもないが、R8 e-トロンの1840kgとP85Dの2100kgという車重を考えると十分な数値だといえる。
その甚大なパワー/トルクを伝えるのは固定レシオ方式のギアボックス。ガス・ペダルから足を離した際の抵抗を極限まで減らすことができる、新式のコースティング・システムとの共同作業で航続可能距離を稼ぐ。
また、リチウム・イオン・バッテリーの容量も48.6kWhから91.0kWhへと拡大されており、セル単体も3.2アンペアから3.6アンペアへと変更を受け瞬発力をより迅速なものにした。
エクステリア同様、インテリアも1世代目のR8と共通すつ部分が多い。しかしながらインストゥルメントはe-トロン専用のものとなっており、電気ドライブラインが現在どのような状態なのかを表示できる。