マーティン・ブランドルが語る F1 2015年シーズン・プレビュー
公開 : 2015.03.13 22:55 更新 : 2017.06.01 02:10
「バトンの言動を注意深く観察したところ、実は移籍するチャンスもあったようなのです。しかし彼は、チームに残ることに決めたのですね」と続ける。
ーー これ幸いと次の質問。
「2015年のマクラーレン・ホンダは成功できるでしょうか?」
「マシンに有名なメーカー名がついたからといって、急に速くなることはありません」とブランドル氏。「去年の段階ではマクラーレンのシャシーの完成度は低かっただけに改良に全力を注ぐ必要があるでしょう」と続ける。
「しかし、場合によっては表彰台を狙えるところまでたどり着ける可能性もあります。ホンダは本気でマシンの調整を行っていますからね」と付け加えた。
「アロンソに関してはいかがですか?」という質問に対しては、「彼はすば抜けたドライバーです。しかし彼の個性はいささか強すぎるようにも感じます。どのようにしてフェラーリを去ったかを思い出せばお分かりいただけるでしょう。けれども仮に、彼が自らのキャラクターをコントロールできれば表彰台を争うことも可能になるでしょう」と答えた。
「しかし早かれ遅かれ、ドライバーは出来事に対して責任を負う必要がでてきます。つまり、マシンのせいにできない時が必ず訪れるということです。シューマッハを見てみるとよく分かります。彼はいつだってチームのモチベーションを引き上げ、またそれを彼のモチベーションにしてきました。これこそが勝利を続けられる近道ではないでしょうか」と続けた。
「シューマッハと同じくらいハードに打ち込むべきだということでしょうか?」と私。
「そうではありません」と間を置かずに答えが飛んできた。「皆がハードに打ち込んでいるのはご存知のとおりです。ニコ・ロズベルグはメルセデスと強固な結束を生むことに必死ですし、バルテッリ・ボッタスだってファクトリーにこもりっぱなしです」
「この場合、シューマッハが特別な人間だと見なした方がいいでしょう。彼はチーム・スタッフの奥さんや子どもの名前まで覚えていたのですから。下手に距離を縮めることはしませんでしたが、とにかく自分がF1マシンに乗れることに感謝の気持ちを絶やしませんでした」と続けた。
迷いもあったがセバスチャン・ベッテルの話題に移してみた。「ダニエル・リカルドがニューカマーとして姿を現してから ーー つまり2010-2013年にかけて ーー ベッテルは苦戦していますよね」と問いかけてみたところ、
「コメンテーター生活も18年になりますが」とブランドル氏。「わたしをもっとも混乱させるのは間違いなくベッテルです」と続ける。
「確かに彼は優れたドライバーです。けれども、新しいレギュレーションにうまく適応できないままでいるのです。また去年の初旬から彼は愚痴をこぼすことが多くなりました。ルールはルール、皆平等なはずなのだけれど……」とのことだ。
「ベッテルは昔ほどマシンを操ることを楽しんでいません。それにルノー・エンジンの不調が拍車をかけているのかもしれません。それだけでなく、ダニエル・リカルドの ’とにかくアクセルを踏んでみよう’ という、いい意味で怖いもの知らずな点が、さらにベッテルを窮地に追い込んでいるようです」