マーティン・ブランドルが語る F1 2015年シーズン・プレビュー
公開 : 2015.03.13 22:55 更新 : 2017.06.01 02:10
「ベッテルは今現在、明瞭な答えを見つけきれずにいます。だからこそフェラーリのオファーを受け入れたとも言えるでしょう。まぁ、この先はあまり期待すべきではありませんが」と締めくくった。
2014年は、ほぼ互角の戦いを繰り広げたハミルトンとロズベルグだったが、この2人はどうだろう?もっと緊迫した状況になるのだろうか?という私の問いかけに対し、ブランドル氏は、
「当然予想されることです。なかでもニコにとってはハードなシーズンになるのではないでしょうか。一度優勝を手にしかけただけに、気迫も並大抵ではないはずです」と言う。
「それにこんなこともありました」と続ける。「昨シーズン中、2人はそれぞれの旧車に乗ってサーキットを1周することがあったのですが、ハミルトンは盛大な拍手を受けたのに対し、ロズベルグの時はあまり盛り上がりませんでした」
「92年、私がベネトンから参戦した時も同じようなことがありました。予選でシューマッハを抜き去った末のゴールだったのですが、(私にではなく)シューマッハへのインタビューをするために駆けつけたジャーナリストを押し分けてピットに戻らなければならなかったのです」
「これはレーサーにとって、心から辛いことなのです。一度この辛さを味わえば二度と同じ思いはしたくなくなるはずです。また、同時にハミルトンも同じ喜びを味わいたいはずです」と、続けた。
ここまで読んでお分かりの読者も多いかもしれないが、彼は単にF1を ’批評の対象’ とのみ、見なしているわけではない。F1をひとつのスポーツとして、こよなく愛しているのだ。
彼はF1に多大な影響を及ぼした実業家、バーニー・エクレストン氏がこれまでのようにF1界に復帰することを望んでいるのだそうだ。エクレストン氏こそ、F1というビッグ・ビジネスをリードできるのだと言う。
同時に、たった20台しか走っていないF1マシンの数も増やしていきたいのだそうだ。1989年、彼が現役ドライバーだったころの38台という数字を思い起こせば、確かに今走っている台数は少なすぎる。
また、技術が進歩しているにもかかわらず、F1に反映されていないとも言う。「どうしていまだに13インチのタイヤでなければならないのですか?」という問いかけに対して、私もハッとさせられた次第だ。
「ハイブリッド・パワートレインに対してどうお考えですか?」という、もう一つの重要な質問に関しては「オール・ウェルカムです。たしかに音は静かになるけれど、F1には迫力がまだまだたくさんあります」とのこと。
「ホンダはそれどころではないし、ルノーも保留。メルセデスもお茶を濁していますが、フェラーリを始めとするいくつかのチームはハイブリッドに対して前向きです。ますます面白いことになるのではないでしょうか」と含みをもたせた。
また、2015年のシーズンに関しては「メルセデス製エンジンを搭載したフォース・インディアがスムーズな走りをするはずです」と締めくくった。