■どんな感じ?

そのかわり、前席のドラポジや操作性、とくにシートのデキはクラス平均を大きく上回るのは、新世代マツダ共通の美点である。また、クラス的にソフト・パッドを大量投入はできないが、各部の凝った意匠や質感(とそれを見事に実現する生産技術)もマツダらしい。

ただ、ひとつ気になったのはインテリア・デザイン上のハイライトでもある丸型のエアコン・アウトレットだ。意図的に指向性の高い設計になっているのだが、そのぶん吹き出す風量が強く、風向きの調整幅もせまい。

同じダッシュボード設計でも低く座るデミオではあまり気にならなかったが、CX-3ではどう調整しても、エアコン風が手や首筋などに集中して吹きつけられた。エアコン全開で使わざるをえない夏場は気になるかも。

今回は限られた時間とルートでの試乗だったので、走りについてはあまり断定的なことはいえない。動力性能は低速の蹴り出しにディーゼルらしい力強さはあるが、総合的にはガソリン1.6〜1.8ℓ級。兄貴分の2.2ℓようにスポーツモデルというほど速くはない。

サス・ストロークは基本的に滑らか。高速ほどフラットかつ快適になるマツダらしい味わいだが、四輪をバラバラに蹴り上げられると、予想以上に上屋が揺すられるのは要熟成ポイントだろう。とくに4WDにその傾向が強い。

今のところFFのほうが圧倒的に軽快で乗り心地も良好だ。車重を考えればFFのほうが活発なのは予想どおり。ただ、4WDの乗り心地については、リア・サスが半リジッドのトーションビームのまま……という見るからに窮屈そうな構成なのは、素人目ながらちょっと気になる。