マツダ CX-3 XDツーリング
公開 : 2015.03.16 23:55 更新 : 2017.05.29 19:13
リア・トーションビーム+4WDの組み合わせは、コンパクトカーの実用4WDではめずらしくないが、さすがに4WDを前面に押すSUVやクロスオーバーでは少数派だからだ。もっとも、開発陣は「ダンパーが馴染めば、乗り心地の印象も変わるはず」と語る。
CX-3は見た目にインパクトがある18インチの大径ホイールをメインにする。ただ、現時点では一部グレードにある16インチのほうが操舵リニアリティ、乗り心地ともに完成度が高い。これは初期のCX-5やアテンザと同じ傾向で、年を追うごとに大径ホイールのほうが良くなっていった。まあ、それを差し引いてもステアリングが俊敏な18インチのほうが好み……という向きもあろうから、購入時はぜひとも両サイズを試乗したほうがよい。
■「買い」か?
プライス・リストだけではライバルよりちょっと高めに見えるCX-3だが、新年度からもディーゼル車に給付されるはずの補助金やナビ代金(5万円弱の専用SDカードをプラスするだけ)を考えれば高くはない。さらに、ライバルには未整備の低速自動ブレーキやレーダー式クルーズコントロールなどは一度でも効能を実感すると手放せなくなるので、CX-3の重要なキラー・コンテンツとなるだろう。
話題のナチュラル・サウンド・スムーザーは特定周波数の共振を軽減する “ピストンピン内部のバランスウエイト” で、回生充電システムとセットオプション。これを組み込むと低速域では別物のエンジンのように静かになり、目からウロコの技術ではある。ただ、効果はあくまで車速40km/h前後未満に限定されるので、ディーゼル嫌いを改心させるほどのものではない。6.48万円の追加コストを支払う気になるかどうかは微妙なところ(抱き合わせの回生充電による数%の燃費向上効果もあるが)で、こういうものは全車標準化してこそ意味があると思う。
前記のように走りは要熟成で、ベスト・グレード選びもまだ断定しにくい状況である。ただ、それでもマニア好みの乗り味、語りたくなるウンチクの数々、そして圧倒的に魅力的にスタイルや質感……を考えれば、現時点でも、国産の小型クロスオーバーでベストの存在であることは事実だろう。
(文・佐野弘宗 写真・花村英典)
マツダ CX-3 XDツーリング
価格 | 2,592,000円 |
燃費 | 23.0km/ℓ |
CO2排出量 | 112g/km |
乾燥重量 | 1260kg |
エンジン | 直列4気筒1498ccターボ |
最高出力 | 105ps/4000rpm |
最大トルク | 27.5kg-m/1600-2500rpm |
ギアボックス | 6速オートマティック |