ホンダ・レジェンド・ハイブリッドEX
公開 : 2015.03.16 23:53 更新 : 2022.12.12 21:30
■どんなクルマ?
エンジン・スタートのボタンを押すと無音で目を覚ます。ブレーキ・ペダルを緩めると、無音でスッと前に出る。エレキの力で重さが存在しない。本年2月20日に発売となった、”伝説” という名のホンダの5代目フラッグシップはハイブリッドなのである。それも、世界初、モーターを3つも備えているのだ。
“SPORT HYBRID SH-AWD” と呼ばれるこのシステム、新型NSXと同じですか? とレジェンドの開発責任者の青木仁さんにたずねると、満面の笑みを浮かべ、「私の顔から察してください」とだけいった。今年のデトロイトで発表となったNSX量産型は3モーターの制御によって、”ゼロ・ディレイ” を掲げている。ドライバーの操作に対して遅れがゼロ、ということだ。3モーターの日本エレキテル連合が「ダメよ〜、ダメダメ!」とばかりに、石火の機でもってクルマを加速させる(と想像する)。
レジェンドのフロントに横置きされるエンジンは3.5ℓV6SOHCの直噴で、低負荷時には片バンク3気筒を休止して燃費を稼ぐ。なんとプレミアム・ガソリン指定で、最高出力は314ps/6500rpm、最大トルク37.8kg-m/4700rpmという硬派に仕立てられている。
ギアボックスはホンダ内製の7速DCTで、このなかに48psの電気モーターが組み込まれている。急加速時には前輪のみを駆動するエンジンを助け、減速時には電力を回生する。ときに発電もする。リチウムイオン電池は後部座席の後ろに組み込まれている。トランクル・ルームはその分、ちょっと狭いけれど、ゴルフバッグが3つ入る。
“SPORT HYBRID” を名乗る最大の要点は、左右後輪を独立して駆動する2基の電気モーターとその制御プログラムにある。旋回時に外側の後輪だけを駆動し、内側はモーターによる回生で減速する。プラスとマイナスの駆動力を積極的に使う。いわゆるトルク・ベクタリングによって曲がる力を自在に生み出すのだ。