ホンダ・レジェンド・ハイブリッドEX

公開 : 2015.03.16 23:53　　更新 : 2022.12.12 21:30

ボタン式のギア・セレクターは取材陣のなかでも賛否が分かれた。P、N、Dは真下に押すが、Rだけは手前に引く。SPORTモードの切替ボタンもここに備わる。
こちらのリア・シートはブルーノ(茶色)のインテリアカラー。後席からの見晴らしは良好
左右リア・シート間の肘掛けにはオーディオや空調の操作パネルが備わる。

加速性能はV8並み、燃費は4気筒並み、というのがホンダの主張で、JC08モードは16.8km/ℓ。ちなみに、ライバルのレクサスGS450hは同18.2km/ℓ、日産スカイライン350GT FOURハイブリッドは16.8km/ℓである。4駆というくくりでは負けていない。

ホンダの最高級モデルだけあって、自動ブレーキや歩行者事故低減ステアリングなどの最新の運転支援システムを標準装備する。販売計画は月300台と控えめで、それもあってだろう、グレードは本革シート仕様の１種類しかない。価格は680万円と、700万円超から始まるレクサス450hに較べ、お値打ち感のある設定としている。

“ジュエルアイ” と名づけられたLEDヘッドライトはキラキラ輝いている。そこのみを見て、ドアを開け、運転席に着座すれば、トラッドといってよい本革シートのインテリアが出迎えてくれる。

私は、「日本の自動車メーカーって、スゴイな」と思った。ホンダはモータースポーツでの輝かしい実績も持つ。世界を制覇した技術力でもって、こういうクルマをつくろうと思えば、つくれるのである。

あとはマーケットがどう応えるか？　3年ぶりに復活したレジェンドは、ホンダのセダン・マーケットへの “挑戦” であるという。2015年は、F1復帰、S660、NSX、シビック・タイプRと、ホンダの “挑戦” が続く。

試乗会が開かれたのは3月10日のことだった。4年前の3.11のときはたいへんだったんですよね、と筆者は世間話のつもりで、取材していたエンジニア氏にたずねた。「たいへんでした。ひとり亡くなって……」。そう、レジェンドの開発本拠地でもある栃木のR&Dセンターでは天井が落ち、従業員のかたが1名亡くなっていたのである。合掌。

挑戦するホンダを応援しないで、だれを応援するというのだ。

(文・今尾直樹　写真・前田恵介)