BMW 650iクーペ

公開 : 2015.03.19 23:40　　更新 : 2017.05.23 10:26

一方、更に細くタイトなコーナーが続く道に連れ出すと、否応なくサイズや車重を感じることになる。

それでも操舵フィールの気持ちよさが維持されるのは、(フィードバックに欠けるが)正確なステアリングと、リア・ホイール・ステアによるとことが大きい。

ドライビング・モードをスポーツに変えると、これまでよりも更にボディを路面に引きつけて離さない。安定感は高く評価したいが、やはりクイックな身のこなしを求めると大きさを感じざるを得ない点が目立った。

全般的な乗り心地はラグジュアリー・クーペに見合った柔らかさを確保している。

しかし、マンホール・カバーによる凹凸やバンプによる衝撃は比較的拾いやすく、特に20インチのホイールを履いている場合は、ボディはもとより身体まで揺さぶられることが度々看取された。

■「買い」か?

エレガントで美しく、細かなところまで作りこまれている点は6シリーズの明確な長所である。また、とくにこのグレードならば、エンジンも6シリーズのキャラクターに華を添える。

しかしながら長く乗れば乗るほど、650iの特異な立ち位置が気になり始めてくる。ポルシェ911でもないし、メルセデス・ベンツ Sクラス・クーペともどこか違う。

となれば同じBMWのなかにライバルが居るのではないか？と思い始める。あった。640dである。640dは650iよりも安く購入できるうえ、文句なしに速い。

一般道では650iだって素晴らしい身のこなしをしてくれるが、周りを見渡すと、立ち位置があまりに不確かすぎる。

特に同価格帯のクルマと比べると、運動能力、高級感、実用性の点が足を引っ張り、強くおすすめすることは難しい。

(ジョン・ハウエル)