ゼノスE10 S

公開 : 2015.03.20 23:40  更新 : 2017.05.29 20:01

走らせると頭上には風を感じるが、ケータハムのように歯を食いしばりながら運転することはない。

しかしながらノイズは盛大な類。ゼノスは慎重にエコブーストをチューニングしたというが、音に関してはターボの唸り声やエンジンの咆哮が目一杯車内に侵入してくる。

酸素をこれでもかと吸い込む音は、ある種の凶暴性を醸し出している。ヘルメットをかぶればちょうどいい音量と表現するのが適切だろうか。とにかく迫力に満ちた音質である。

そんな音に恥じないほどレスポンスは優れる。出力重量比はポルシェ911ターボのそれに勝るということからも、その鋭さを想像いただけるだろうか。

さらに驚かされるのは後輪からの蹴りこみである。天気が良かったにも関わらず、フル・スロットルを試みれば永遠かと思えるほどホイール・スピンが続き、また余りある粘り強さにも大いに驚かされた。

絶大なパワーと鋭さ、破綻を知らない粘りづよさが組み合わされば、これほど楽しいクルマになるのだと、驚かされた。

低速域の操舵感覚はロータスよりもケータハムに近い。そしてケータハムほどクイックではない。総括すると伝えてくれる情報が多く思い通りに向きが変えられるものの、やや無骨な感覚が付きまとうといったところだ。

ひょっとしたらサーキット以外では扱いにくいのでは?と一瞬思ったが、均整のとれたバランスゆえ荷重移動や転舵に失敗することはなかった。

コーナーをそれなりの速度で攻めれば、早期にアンダーステアになるが、そこからの修正舵は直感的に行える。ではアトムのようにカートみたく運転できるか?と言われればそうではなく、さほどピーキーではない。

乗り心地はロータスほど柔らかくないが、ミド・エンジンの多くのライバルより乗りやすいと感じる。また、ギアが6速まで用意されるため(耳栓をすれば)ゆったりと流すこともでき、サーキットでも公道でもまずまずの満足度で運転できる仕立てであることがわかった。

■「買い」か?

生い立ち、シャープなハンドリング、受け入れやすい乗り心地を考えると、ロータスがライバルとなることが有力である。

われわれ英国人が予てから待ちわびた、新しいライトウエイト・スポーツカーが登場した。エリーゼ以上に愛される可能性も十分にある。

(ニック・カケット)

ゼノスE10 S

価格 £29,995(535万円)
最高速度 233km/h
0-100km/h加速 4.0秒
燃費 NA
CO2排出量 NA
乾燥重量 725kg
エンジン 直列4気筒1999ccターボ
最高出力 254ps/7000rpm
最大トルク 40.8kg-m/2500rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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