メルセデス・ベンツF015

公開 : 2015.03.21 23:50  更新 : 2017.05.13 12:50

4ドアのF105は、Bピラーを持たないデザインで、キャビンへのアクセスは観音開きのドアからとなる。非常に大きなインテリア・スペースには、贅沢に4つのシートしか存在しない。というのも、これは大きな室内に出来る限りの乗員を乗せるMPVのようなクルマではないからだ。

ドアを開けると、シートはそれぞれ30°ずつ回転し、アクセスを容易にしてくれる。シートのレイアウトは、通常の2列配置も可能だが、シートを向かい合わせにした、つまりドライバーが正面を見ないレイアウトも可能だ。

そのキャビン内部は非常にクオリティの高いもので、プレミアムなウッド、本革、カーペット、メタルが適材適所に使われている。そして、そのすべてがシームレスにレイアウトされる。

6台のタッチ・スクリーンが装備されるが、その内1台はジェスチャー・コントロールが可能なものでダッシュボード正面にセットされる。もう1台はバック・ウォールに、そして残りの4台は4枚のドアに配置される。乗員は、そのタッチ・スクリーンによって、インフォテーメントはもちろんのこと、クルマのスピードをコントロールするようなこともできるのだ。

シートに向かい合って座っているのは、クルマの外から見ていると驚くような光景だが、その不思議な感覚に慣れるのにそう多くの時間は必要としない。

ドアが閉められると、自動的にシート・ベルトが装着され、そしてクルマは動き出す。運転に一切に関わる必要がないため、他に乗り込んだ人との会話を愉しむことに集中すればよい。ドライビングということから開放された時間を、他の生産的な作業に使えるということ。交通渋滞でもいらいらすることはない。

もし、それでも自律運転に飽きたり、自分で運転したいという欲求が生まれた場合には、みずからがステアリングを握ることも可能だ。その場合、ドライバーズ・シートを回転させ正面を向ければいい。ダッシュボードの外側にはきちんとステアリングがあり、ペダルもフロアから生えている。将来的に自律運転がポピュラーなものになったとしても、自ら運転するという “愉しみ” まで奪おうという気はメルセデスにはないようで、これが本当の自律運転のみでクルマそのものを制御しようとしているGoogleとは違うところだ。

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