アウディTTロードスター2.0TDIウルトラ

公開 : 2015.03.27 23:50　　更新 : 2017.05.29 18:14

また、いかに最新の注意が払われて設計されているかが分かりやすいのはシートの形状である。あるべきところにクッションがあること、そのサポート性、ステアリングとの位置関係、調整幅の広さなどは、体格に関係なく恩恵を受けることになるはずだ。

内装といえば、やはり極めてシンプルに仕立てられたスイッチ群も特筆しておくべきだろう。たしかに慣れるまでに時間を要すのも事実だが、TTのインテリアほどスッキリとして美しいクルマはあまりない。マテリアル単体が醸す高級感も見事である。

標準のバーチャル・コックピットはTTオリジナルのものではないが、従来のメーター・ダイヤル部にフル・スクリーン・マップやオーディオ、通話に関する情報を表示できるのは、思いのほか助けられることが多かった。

■「買い」か?

と、ここまで褒めるべきことが多かったが、2.0TSIガソリン版と2.0TDIディーゼル版を天秤にかけると、われわれならばガソリン版を選ぶだろう。TSIの方がよりなめらかであるし、より速いからだ。

しかし、これまでと違った類の ’おもしろさ’ を求めるならば、ディーゼル版も十分に有力な選択肢になり得る。徹底的に楽しめながら、長距離をものともしない経済的はやはり、ディーゼルならではの芸当である。

純粋にドライビングを楽しみたい向きにとってTTロードスターは、あるいは安楽的で、熱情に乏しいと感じるかもしれないが、ボクスターより£10,000(177万円)安価な価格帯でこれほど優れたクルマは見つけられまい。

よって結論は「買い」だ。春はすぐそこまで来ている。

(ジョン・ハウエル)