■どんな感じ?

洗練性、経済性、安定感という ’三拍子’ をきちんとクリアすることが難しいことは読者諸兄もご存知のとおりかと思うが、ことマツダ2においては着実に合格点を超えてきた。

長時間このクルマと過ごしても楽しい気持ちが持続するのは、キャビンの質感によるところも大きいようだ。落ち着いた黒のプラスティックと、同じく黒のクロスで覆われたシンプルな内装は実に心を落ち着けてくれる。

色だけではなく、整頓されたスイッチ群や周辺のデザインの秀逸さも舌を巻くレベルにある。効果的に鮮やかな差し色を加え、それぞれの質感を底上げするという ’実はかなり難しい’ 芸当をマツダは巧みにやってのける。

身長の高い大人が後席に乗ると、膝や頭が内装と触れ合うことになるため最高レベルとはいい難いが、小さい車体のなかで有効にスペースを創出していることはよくわかる。

乗り味は、小型車というよりも数サイズうえのファミリー・ハッチに似た安定感を感じる。加速初期の段階ではディーゼル音が耳に届くものの、速度が増していけば非常に静かになり、正直かなり驚いた。

スロットル・レスポンスはややソフトな類。しかしながら2000-3000rpmのあいだで力づよいトルクが湧きあがるおかげで、3、4速付近はとても活発な印象である。

マツダは今回、あまり例をみないほどギア・レシオをロングにしているため、5、6速における加速力は精彩を欠くが、6速時、60km/h前後の巡航時の回転数が1000rpmまで落ち着くおかげで車格を大きく上回るリラックスした巡航マナーが実現している。

平均燃費は楽に21km/ℓを超えることが可能。ていねいさを心がけて運転すれば25km/ℓも超えられるはずだ。