スバル・フル・ラインナップ試乗
公開 : 2015.03.28 23:50 更新 : 2017.05.29 18:41
スポーティなCVTであるスポーツ・リニアトロニックと可変トルクのAWDシステムを内包したWRX S4はマニュアルシフト+電子制御デフ(DCCD)を備えるSTiよりもはるかに滑らかなスピード・メイクを得意としている。特にSIドライブの設定を最もスポーティな “スポーツシャープモード” にすると、エンジン回転が高く保たれ、シフトのキレも素早い。スロットルのオンオフを繰り返すようなタイトなワインディングにおいてもパワートレーンが少しもギクシャクしない点は水平対向ユニットを縦置きしているアドバンテージであり、専用ギアボックスによってターボとの連携も緻密に行われている。
直進している時にはステアリングに確かなセンタリング感がありながら、コーナーで転舵しはじめると一転してスッときれいにターンインしていく様子は、最新のAWDならではのものといえる。だがコーナーでステアリングを積極的に切り込んで行ってもフロントはほとんどロールを感じさせず、一方のリアはコーナーからの脱出でフルにトラクションを掛けたような場合でも実によく粘る。
センターデフの締結を緩めにしても4駆感を生々しく感じさせるSTiとは違い、一見FRのようにすっきりとしたハンドリングを備えるS4だが、ペースを上げていくとAWD感が前面に押し出されてくる。具体的には、若干オーバー・スピード気味にターンインし舵角を一定にして待っていると、フロント・タイヤのトルクを巧みにコントロールしてハナ先をグイグイとコーナーの内側に向けていく様が確認できるのである。駆動系の出来はかなりのレベルなので、あとは平板で硬いシートさえドライバーの背中にフィットするものになれば、フィードバック面はさらに良くなるはずだ。