プジョー308GT 1.6 THP 205 5ドア
公開 : 2015.03.30 23:40 更新 : 2017.05.29 19:00
ベンドに飛び込めば、基準車同様に大きめのロールが生じ、また、中盤にエッジの立ったバンプを踏み越えると、車体がふわりと浮きあがることもあるが、それ以外は完璧に予想できるのは308GTの良いところだ。
特にアンダーステア。”そろそろかな?” というタイミングがつかみやすく、その後もスロットルのみで制御できる(308GTならではのものか?と問われればそうではないが……)。
GTらしさを引き出すためにスポーツ・ボタンも用意されている。押せばメーターは赤色にかわり、出力やブースト圧も表示してくれる。また、この際(かなりわざとらしくはあるが)エンジン音も強調してくれる。
わざとらしいといえば、ブレーキのアシスト量ももう少し自然にしてほしいところ。かなり注意して踏まなければ、思わぬところでガツンと効きはじめ、驚くことになる。
反面、キャビンのデザインは見ていて感心するし、使用する素材も実によく吟味されている。主要ボタンがタッチスクリーン上に集約されている点もミニマリストにとっては嬉しいはずだ。
ただ、扱いにくさと隣あわせなのも事実。エアコンの調整ひとつとっても、画面から画面へスワイプしなければ行えないため、前方から目を離すことが多く、運転に集中しにくいと感じることもあった。
また小径ステアリングの可動域が小さいのも残念だ。長身のドライバーがシートを後方にスライドさせた状態ならば、ステアリングまで腕を伸ばさなければならないという、あまり運転に適さない姿勢になってしまう。
これに対し、上下方向の可動域は大きい。しかしプジョー製i-コックピット・ダイアルとの兼ね合いで、場合によってはメーターを大いに遮られることもある。
これを避けるためにステアリング位置を下げれば、さきほどの問題と相まってドライビング・ポジションは崩壊してしまう……という決して見逃せない問題を抱えているのだ。
バック・カメラが付いているとはいうものの、後方視界がCピラーによってかなり制限されている点も要注意。後退時にはカメラに頼ればいいが、前進時に斜め後方が見えないというのは不安の一因になってしまう。
後部座席の天地方向のスペースはライバルに比べると豊富であるが、180cmを超える大人ならば足元のスペースには苦しむことになるだろう。ただし荷室は、470ℓという豊富な容量と形ともに期待して良い。